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06年2月28日

カテゴリー: - - 2006年2月28日(火曜日)

1、毎日に「量的緩和早期解除、中川氏条件付き容認」「政府・与党『実を取る』」が書かれている。

「自民党の中川秀直政調会長は27日、東京都内で講演し、量的緩和政策の解除について『06年度のデフレ脱却、名目成長率2%達成の政策目標を政府・与党と共有し、必ずやっていただければ、時期は日銀の判断で結構だ』と述べ、早期解除容認論を示唆した。同時に『二度とデフレに戻らないという確信を持った説明責任を果たすことを期待する』と注文をつけた。中川氏はこれまで早期解除に慎重論を唱えてきたが、条件付きでの容認へ軌道修正した格好だ。中川氏は英国の例を挙げ、『英国では望ましい物価上昇率を決める過程で、政府と中央銀行が十二分に相談、協議をする。中央銀行はその達成を目指し、金融政策を展開している』と述べ、インフレ目標の設定が必要との認識を改めて強調した」。

「政府・与党内で日銀の量的緩和解除に対する容認論が広がってきた。景気回復が堅調な上、市場が早期解除を織り込む動きを強めていることが影響。ただ、政府・与党には、解除容認では日銀の顔を立てる代わりに、解除後の金融政策の運営で、成長加速や財政再建に配慮させようとの思惑も見え隠れする。『名を捨てて実を取る』作戦とも言え、解除をその後のゼロ金利脱却の一歩としたい日銀との認識の違いが浮き彫りになっている」。

「『政府と日銀で景気認識に大差はない。条件が整えば、日銀の判断でどうやっていただいてもいい』。与謝野馨・経済財政担当相は26日のテレビ番組でこう発言した。同相は当初から、『財政と金融政策の正常化は日本経済の最大の課題』と、日銀に理解を示す姿勢だった。消費者物価指数が安定的に前年比ゼロ%以上になることや、先行きマイナスにならないと日銀が確信すれば、いつでも解除可能との考えだ。与謝野氏は、9月に退任する小泉純一郎首相の経済政策の司令塔として『小泉政権でデフレ脱却・経済正常化宣言を行うことを任務と考えている』(関係筋)ことも発言の背景にある。この立場からは、量的緩和解除はむしろ経済正常化の証明と評価できるからだ。一方、財務省や竹中平蔵総務相、中川秀直政調会長らの容認論はそれぞれ色合いが違う。中川政調会長は27日の東京都内の講演で、『06年度のデフレ脱却と名目成長率2%達成の政策目標を共有するなら、解除の時期は日銀が判断して結構』と指摘。解除容認と引き換えにインフレ目標を導入し、超金融緩和策を相当期間続けることで、経済成長の加速に協力するよう求めた。竹中総務相も同じ立場で、ポスト小泉をにらみ、名目GDP(国内総生産)の年4%成長を目指す『上げ潮』政策に金融緩和を活用しようという狙いが透けて見える。財務省は、国債の利払い費増加につながる長期金利への悪影響を懸念。インフレ目標の導入には慎重だが、国債を大量に保有する銀行などの決算期末の3月の量的緩和解除には反対する。財務省幹部は『解除後の金融政策では、将来の消費税増税など財政再建が景気に与える影響に配慮してもらわなければならない』と強調する。同省内には『ゼロ金利から脱却し、利上げを始めるにあたっても、量的緩和政策解除の時と同じような明確な条件を求めたい』との強硬論もくすぶっている」。

 私は、いままで、一貫して、「日銀は政策手段の独立性を持つが目標設定の独立性は与えられていない、といわれるが、これは、政策目標を政府と日銀が共有しておけば、政府は日常の政策手段に介入する必要はなく、それは日銀に任せておけばいいという意味である。これが政府と中央銀行の望ましい関係だ」と述べてきた。その真意は、06年度のデフレ脱却と名目成長率2%達成という政策目標を日銀が共有してくれるという前提でのものである。量的緩和解除時についてはあえてコメントしないが、日銀はその結果について責任をもってもらいたい。そして、「日銀は二度とデフレに戻らない説明責任を果たせる、透明性の高い政策目標を掲げるべき」となる。この透明性の高い政策目標とは、具体的には「望ましい物価上昇率を示す数値目標」となる。しかし、日銀内では、目安の必要性は認めるが、数値目標は機動性を縛る故、メッセージ方式が大勢を占めているという。しかし、このメッセージ方式はOECDの先進諸国では日米のみであり、他はインフレ目標、インフレ参照値が金融政策の手法である。しかも、その米国でもバーナンキ新議長によってインフレ目標導入の動きがある。理由は、グリーンスパン前議長のカリスマ性に依存することが大きかったメッセージ方式であったが、そのカリスマがいなくなったのだから、透明性の高い「数値」目標がベターであるとの判断であるという。まして、日本においては、「グリーンスパン」はいないのだから、数値目標こそが、OECD先進諸国の成功例として、より市場の信頼を得るベターな金融政策の手法だと思うが。(2月28日記)



06年2月27日

カテゴリー: - - 2006年2月27日(月曜日)

1、「報道2001」(2月23日)と共同通信(2月25、26日)の世論調査の結果が発表された。

「報道2001の内閣支持率は、前回(2月16日)に比べて4・8ポイント増の50・6%、不支持率は3・0ポイント減の43・0%、わからないは1・8ポイント減の6・4%。次の衆院選でどの政党に投票するかは、自民党が5・8ポイント増の34・2%、民主党が1・6ポイント減の17・8%、未定が8・0ポイント減の34・0%。前原代表は責任を取って辞任すべきだと思うかは、はい44・0%、いいえ47・2%、わからない8・8%。次の首相も靖国神社を参拝すべきだと思うかは、はい31・2%、いいえ58・2%、わからない10・6%。政府は2月の月例経済報告で景気が回復していると発表したが、実感はあるかは、ある27・8%、ない70・2%、わからない2・0%」。

「共同の内閣支持率は、前回(1月26、27日)に比べて、1・1ポイント減の51・8%、不支持率は2・9ポイント増の37・2%、わからないは1・8ポイント減の11・0%。政党支持率は、自民党(記載なし)、民主党は5・7ポイント減の11・3%(*03年10月の民主党と旧自由党の合併以来最低)。前原代表の責任については、辞任すべき27・6%、責任はあるが辞任する必要はない58・7%、責任はない7・8%。永田議員の進退については、議員辞職すべき37・6%、辞職する必要はない22・9%、どちらともいえない37・9%」。

 以上の調査結果から次の2点が読み解ける。

第1は、内閣支持率についてである。先週の「報道2001」の内閣支持率は、2月16日調査であったが故に、当日の送金メール提示による瞬間風速の下げ圧力により、8・0ポイント減の45・8%、不支持率は7・0ポイント増の46・0%となり、支持、不支持が逆転した。しかし、その後、そのメールの信憑性への疑念が広がり、22日の党首討論で前原代表がその疑念を払拭できなかったことにより、一挙に偽メール説が民意に定着化した。結果、支持率の下げ圧力要因が消えたことによって、再度50%の大台に復帰したのである。共同の内閣支持率は、前回調査が、1月26、27日であり、偽メールの影響を受けていないので、50%の大台を維持しているのである。昨日をもって、小泉政権は、4年10カ月となるが、その内閣支持率が、50%台の意味をマスコミ、識者は深く考察すべきである。これが、後、7カ月で退陣する内閣支持率なのかである。この4年10カ月を振り返ればよい。この間、小泉政権直撃のスキャンダルがあったのかである。ないのである。だからこれからもないのである。巨大な闇などないのである。故に、民意の信を得ているのである。

第2は、政党支持率についてである。共同によると、民主党支持率は11・3%となり、03年10月の民主党と旧自由党合併以来最低の支持率となったという。この意味は大きいと言わざるをえない。民主党の存在理由である政権交代という大儀名分を失ったということになるからである。政権交代をするためには政権担当能力が不可欠であるが、それがないとの証左である。この2年4カ月は、その政権担当能力をつける為の歩みであったのではないか。03年の衆院選、04年の参院選で、ホップ、ステップと議席と党勢を伸ばし、政権担当能力をつけ、次の衆院選でジャンプで政権交代をとのシナリオが、昨年の9・11総選挙で、頓挫し、今回の偽メールで、振り出しに戻ってしまったとなる。事実、報道2001の、次の衆院選でどの政党に投票するかでは、民主党は自民党のほぼ半分になってしまっているのである。首都圏の無党派層が民主党を見切ったからである。その意味で、前原執行部の責任は極めて大きい。政権担当能力なしとの烙印を民意から押されたことがである。(2月27日記)



06年2月26日

カテゴリー: - - 2006年2月26日(日曜日)

1、読売の「政治を読む」で「メール問題前原氏の解は?」が書かれている。

「数学が大好きな少年だった。夢中になると、7、8時間は過ぎていた。夏休みに汗びっしょりで問題を解き続け、腕の裏側にあせもを作ったー。前原誠司民主党代表(43)の中学生時代のエピソードだ。昨年9月、民主党再建の期待を背負って代表となった前原氏。だが、今、同党の永田寿康衆院議員が『ライブドア前社長の堀江貴文被告が武部自民党幹事長の二男への送金を電子メールで指示した』と指摘した問題で苦境に立っている。政敵の小泉首相は、余裕からか、こう自民党執行部にクギを刺す。『前原さんを追い詰めるべきではない』。首相は昨年9月、前原氏に自民、民主の『大連立』構想を持ちかけたこともある。首相は仲介役の牛尾治朗ウシオ電機会長に『憲法改正や安全保障の問題は大連立じゃないと実現できない。前原ならば一緒にやれる。おれよりも考え方が進んでいるくらいだ。そう伝えておいてよ』と頼んだ。首相の秋波には若い前原氏が代表でいる方が民主党を御しやすい、という計算がある。だが、20歳年下の政治家、前原氏へのシンパシーもうかがえる。首相も前原氏も既成の党内秩序を変える挑戦者であり、党内に『抵抗勢力』を抱えている。首相は言う。『前原さんが政権をとる近道は、自民党との連携を利用し、民主党内の抵抗勢力を切ることだ』。小泉流の純化路線の勧めである。前原氏は『ファイテイングポーズを取って首相に対抗する』とし、外交・安保などの基本政策の党内合意形成に向け、小泉流の強い指導力を追い求めた。しかし、今回のメール問題では攻めの姿勢にこだわりすぎ、『仲間の努力を信用する。最終的な責任は代表にある』と言い切った。メールの信憑性が疑わしくなった後も『確度は高い』と繰り返し、身動きがとれなくなった。永田氏の質問を認めた責任が問われる野田佳彦国会対策委員長は、代表選で支援してくれた盟友だけに、野田氏と『一蓮托生』との思いもある。古代中国の軍学書『孫子の兵法』には、『将に五危あり』とある。将軍を敗死させる原因として、1、決死の勇気だけで思慮に欠ける者は殺される、2、短気で怒りっぽい者は侮辱されて計略に引っかかる、3、兵士をいたわる人情の深い者は兵士の世話に苦労が絶えないーなど5つを挙げる。民主党は今後も、ライブドアと自民党との関係を追求するだろう。新事実が判明するかもしれない。だが、『結果よければ、すべてよし』ではない。メールの信憑性が危ういなら非を認め、経緯と責任を明確にして次に進むべきだ。長引かせても、民主党への不信が広がるだけだ。前原氏にとって『本丸』は政権奪取のはずだ。こんなことで代表を引責辞任などしている場合ではない。結論に至る筋道を論理的に考えるのが数学の醍醐味である。前原氏は難局打開の『解』をどう見いだすのだろうか」。

 民主党の難局打開の「解」とは、「過ちては則ち改むるに憚ることなかれ」に尽きると思う。自らの非を認めて謝罪することである。しかし、一向に改めようとしない。昨日の静岡市で開かれた党静岡県連大会で、前原氏は、送金指示メール問題について「巨大な闇が広がっている印象は全く微動だにしない」と強弁している。堀江被告から武部幹事長への資金の流れを指しているのであろうが、完全な思い込みである。もしあれば、当然捜査当局は捜査の手を伸ばし、政界ルートを射程に入れるであろう。ライブドア関連の全ての情報を押収していったのだから、見落とす筈がないではないか。東京地検が異例な「関知していない」声明を出したのがその証左である。それとも、民主党は、東京地検を上回る捜査力と情報拾集力があるとでもいうのかとなる。「巨大な闇」などはないのだから、早期に「過ちては則ち改むるに憚ることなかれ」を実行すべきである。民意の信を完全に失う前にである。(2月26日記)



06年2月25日

カテゴリー: - - 2006年2月25日(土曜日)

1、読売の社説に「民主党迷走」「それでも説明責任は消えない」が書かれている。

「疑惑メール問題で迷走を続ける民主党の姿勢は、どう見ても不可解だ。国会の場でメールを持ち出した永田寿康衆院議員は、いったん党執行部に伝えた議員辞職の意思をひるがえし、結局、都内の病院に『休養』のため、入院してしまった。永田議員は、先の衆院予算委員会で、メールに基づいて、ライブドア前社長の堀江貴文被告から武部自民党幹事長の二男に3000万円の金銭授受があったとして、二男の実名を挙げて追求した。だが、鳩山幹事長の聴取に、『自分の思い込みで行動したことを党や国民におわびしたい』と語っている。メールの信憑性が疑わしいことを認めたものだ。本人には、当然、メールの入手経路、内容をどう確認したのか、などを明確に説明する責任がある。それを放棄して、雲隠れに等しい入院とは、余りにも無責任だ。民主党執行部は、永田議員の入院中、メールの真偽などについて、なお1週間程度、調査するという。これでは、問題の先送りだ。時間稼ぎをし、ほとぼりを冷まそう、という狙いがあるなら、極めて姑息なやり方だ。前原代表は、『議員辞職の必要はない』と言う。辞職となれば、事実上、メールがニセモノだったことを認めることになる。責任問題は、永田議員にとどまらず、野田国会対策委員長や前原代表にまで及び、党内が大きな混乱に陥る。そうした事態は避けたい、という判断もうかがえる。しかし、問題をうやむやに終わらせることがあってはならない。疑惑メールに基づいた質問は、前原代表、野田国会対策委員長ら、ごく少数の幹部で決めたとされる。その際、メールの真偽を厳密にチェックしていれば、こんな混乱は起きなかったはずだ。政権を目指す野党第1党の指導者として、危機管理能力を欠いた未熟な対応だった、と言われても仕方あるまい。この間の経緯についても、前原代表らはきちんと説明する必要がある。前原代表は現在も『ニセモノとは思っていない』と言う。だが、本物であることの立証ができないまま、そうした強弁を続けても、とても納得は得られまい。民主党は、ライブドア事件、耐震強度偽装問題、防衛施設庁の官製談合事件、米牛肉輸入再停止問題を『4点セット』として小泉政権を追求している。だが、疑惑メールを巡る一連の問題に説明責任を果たしてこそ、4点セット追求も説得力を持つ。前原民主党は、その責任に深く思いを致すべきだ」。

 正論であると思うが、前原代表が果たすべき説明責任はもう一つあると思う。何故、対案型路線から、追及型路線に転換したのかを、民意に納得できるように説明する責任がある。理由は、前原代表の政権公約である「改革競争」をいつのまにか反古にしてしまっているからである。昨年の9・11総選挙での大敗から、「改革政党」になるべきとして、スタートした前原民主党ではなかったのか。そのためには、党内の抵抗勢力である官公労と先ず、戦わなければならないのに、いつのまにか小泉政権打倒にすり変わってしまい、「抵抗政党」としての55年体制の旧社会党に先祖返りしてしまったのである。小泉改革の影を追求する「4点セット」がそれである。しかし、この4点セットのいう影は、小泉改革の光りがあってこそのものであり、もし、前原民主党が改革競争としての対案型路線に徹していたならば、影を追及するよりも、その光りをより強くする改革競争に参画したはずである。そうであれば、今回の「疑惑メール」問題は、起きなかったと思われる。前原民主党は、小泉改革の影を4点セットで執拗に追及してきたが、実体がないのだから当然不発に終わり、焦燥感に駆られる中、ライブドア事件の広がりからして、その影の奥に闇があるはずだと思い込み、「疑惑メール」に飛びついたのが真相ではないかと思う。追及型路線の結果が「疑惑メール」問題なのである。その意味で、民主党の迷走の全責任は、前原代表の路線転換にあるといえる。民意が期待し、望んだ対案型路線をドブに捨てたことからである。その説明責任を民意に向かって「疑惑メール」問題と併せて果たすべき責務が、執行部にあると思う。(2月25日記)



06年2月24日

カテゴリー: - - 2006年2月24日(金曜日)

1、毎日に「与党訪中団」「中国、親中派と『差別』」が、書かれている。

「自民党の中川秀直政調会長や与党訪中団が23日、帰国した。要人との会談や中国共産党との討論では、日中関係修復の必要性で一致したが、中国側は靖国神社問題解決が前提となるとの立場を強調し続けた。さらに、同時期に訪中した親中派の二階俊博経済産業相と会談相手に差をつけるなど、『ポスト小泉』レースでも一定の役割を演じる中川氏を通じ、安倍晋三官房長官をはじめとした首相候補らに『靖国での妥協はない』とのメッセージを改めて送る狙いがあったようだ」。

「『共通の利益を重視する<大同小異の精神>が必要だ』。メーン行事の『日中与党交流協議会』で中川氏は、靖国問題に拘泥すれば両国にとってより重要な利益が失われるとの思いを込めて発言した。『共通の利益』は今回訪中のキーワードだった。しかし、中国側は『共通の利益』に理解を示す一方、『靖国問題は小異ではない』と原則論を何度も主張。中国外務省の劉健超・報道局副局長もL者会見で『日本側がこの問題で幻想を抱けば関係改善と発展に無益だ』と指摘した。会談相手も日本側にとっては期待外れだった。希望した呉邦国全国人民代表大会常務委員長、曽慶紅国家副主席とは調整がつかず、李肇星外相との会談も当日になってキャンセルされた。温家宝首相(共産党序列3位)が会談に応じた二階氏や、胡錦濤国家主席との会談が予定されている橋本龍太郎元首相ら日中友好7団体の訪中団(3月末)との『格差』は明らかだった。ただ、小泉純一郎首相との関係修復をあきらめる一方で『ポスト小泉』時代の対日戦略を描き始める中国側には、長時間の日中与党交流協議会を関係修復への『基本条件』を直接示す場として重視する思惑もあった。それを裏付けるように、『人民日報』など23日付中国各紙は温・二階会談より、交流協議会の討議内容を詳報。王家瑞・党中央対外連絡部長が席上述べた『行き詰まりを打開するカギは日本の指導者が靖国神社参拝をやめること。政治的英知と勇気をもつべきだ』との発言は日本の次期首相候補らに向けたものだ。中国は昨年末の内部会議で『靖国参拝問題は重大な原則問題。絶対に妥協しない』と確認する一方、同問題がクリアできれば、首脳交流再開も可能との方針を打ち出した。同協議会はこれら中国側の方針を伝達する場と位置付けられる。中国側は中川氏が『ポスト小泉』時代も重要な役割を演じるとの認識も持っており、同協議会を日本政界との新たなチャンネル構築の起点にしたい考えだ」。

 この5日間の対話は極めて率直なものであった。日中関係は重要であるということ、新しい歴史的条件のもとで両国が一方的な負けなしの「WINーWINの関係」をつくることが両国のみならずアジア地域全体利益になるという「共通の認識」を確認したうえで、現在の政治関係に関する「意見の相違」について、本音の突っ込んだ意見交換を行った。そして「意見の相違」があるにもかかわらず、あるいは、「意見の相違」があったからこそ、「日中与党交流協議会」を日中間の政治チャンネルの1つとして位置づけることができ、次回東京での開催で合意できたことは、この解説記事でも言及しているが、この5日間の与党訪中団の最大の成果であったと考える。

 会見した李長春党常務委員もこの与党交流協議会が重要かつ独特の役割を果たす、と期待感を表明していた。中国側は、今回の会議の中で、対話や協議による問題処理、経済協力の拡大、青少年交流等による相互理解の増進、両国の狭隘的ナショナリズムによる両国対立の防止など、「政治領域以外」について関係改善の提案を行ったが、すでに、中国側はこの提案に基づき、「政治領域以外」で実務協力拡大を始めたと受け止められる。

 困難な「政治領域」の問題を日中与党交流協議会が引き受けることで、他の「非政治領域」分野の関係改善が始まったといえるだろう。今回の協議会での基調講演では、私は、1、日中経済連携協定の締結の加速、2、安定した民主主義国家同士は戦争しないという観点から、中国の社会・政治改革に関連して、日本の経験と教訓の伝達、3、日本の経験に基づく、胡錦濤主席の科学的発展観に基づく経済改革に対する支援、4、愛国主義の感情的爆発を防止することの一環としての専門家交流、5、中国での戦後日本平和的民主的発展の正当な評価、6、日中歴史共同研究、7、多国間枠組みに関する日中協力の「7項目提案」を行った。

 またイデオロギー問題を担当しているといわれる李長春党常務委員との会見でも、1、歴史問題は政治の枠組みのみならず、共同研究の枠組みをつくり、専門家の非政治の枠組みでしっかりと議論すべきである、2、中国も中間層の増大で知る権利と参加する権利が拡大し、民主化プロセスを踏んで歩まれると思うが、これは日中関係にも重要であり、特に、日中関係の観点からは戦後60年の日本の平和的民主的発展をしっかりと中国国民に知っていただきたい、3、両国関係にとってエネルギー問題は重要であり、東シナ海問題の協議を成功させたい、4、新たな基金を通じて青少年交流を拡大したい、5、与党交流協議会を通じて若手リーダーの交流の枠組みをつくりたい、と提案した。

 日中間の公式会議において、民主化の問題を含めて率直な意見交換ができるようになったというのは、まさに新しい時代の到来を意味していると思う。これらの提案は、靖国問題という日中間の「霧」が晴れるとともに、苗が大木となり実を結んでいくことになるだろう。靖国問題については、両国国民の心情に関する問題であり、まず、両国民間の相互理解が重要である。中国側の日本国内事情に関する理解は未だ十分とはいえないとの感想を持ったが、日中与党交流会議の一つの役割がここにあると思う。そして、何よりも、両国政治指導者間の相互信頼が重要である。

 これまでの日中友好は、政治的リスクを覚悟した両国指導者の信頼関係が築いてきたものである。その意味で、今回の訪中を通じて、狭隘的ナショナリズムの防止などについて、日中両国が「共に努力」することで合意できたことの意味も、また、大きかったと考える。私の今回の訪中のテーマは、「小異を残して大同に就くという精神で共通の利益を最大限に拡大する」にあった。中国側も、共通利益を重視し、大同を重視したからこそ、靖国問題で意見の相違があったにもかかわらず、日中与党交流協議を政治チャンネルの一つとして合意できたのだと思う。(2月24日記)



06年2月23日

カテゴリー: - - 2006年2月23日(木曜日)

1、毎日の社説に「送金メール」「もはや民主党の信用問題だ」が書かれている。

「メール問題をうやむやにしたいのは民主党の方ではないかー。そんな疑念を抱かせる質疑だった。もちろん、22日行われた小泉純一郎首相と前原誠司民主党代表との党首討論のことだ。ライブドア前社長の堀江被告が武部勤自民党幹事長の二男に3000万円を振り込むようメールで指示した、と民主党の永田寿康氏が国会で指摘してから1週間。ところが前原氏が前日、『党首討論をお楽しみに』などと大見えを切っていたにもかかわらず、この日も民主党は新たな材料を提示できなかった。そもそも、前原氏が党首討論でメール問題を持ち出したのが、残り時間がわずかになってからだ。『材料が乏しいから、わざと時間切れを狙ったのでは』とあぜんとした国民も多かったに違いない。自民党議員が酷似したメールを独自に入手し、公表したこともあり、メールの信憑性は日に日に失われるばかりだ。対する民主党は、本物と立証するのを既にあきらめた様子である。無論、大事なのはメールの真偽以上に、本当に武部氏の二男に資金提供されたかどうかだ。だが、これも、前原氏は『様々な情報から確証を持っている』と他にも情報があるように、におわせるだけで具体的には全く示せなかった。前原氏は一方で、国政調査権を発動して調査すると与党が約束するなら、資金提供に使われたとされる銀行の口座名などを明かすと主張した。その約束がないと、口座名を明らかにしても、その後、厳密な調査が行われなくなる恐れがあるというわけだ。しかし、前原氏が『この約束がないと我々にはカードがなくなる』と思わず漏らしたように、実際に口座が存在し、金銭の授受があったかどうか、これまでの説明では何ともおぼつかない。だから、できれば自民党に国政調査権の発動を拒否してもらいたい。それを理由に、あいまいなまま幕引する・・。それが民主党の本音ではないかとさえ見えるのだ。もし、そうでないというなら、民主党が、まず口座名などを明かせばいいだけの話だ。もはや、民主党が動かないと次の段階には進まない。そして、早急に白か黒かの決着をつけるべきである。今回の一件は、仮に真実だとすれば、武部氏の進退に直結する重大事だというのに、党をあげて情報収拾し、精査するなど、果たして戦略的に対応してきたものだったのかどうか。疑問視する声が早くも出てきている。党内には前原氏ら執行部批判ももたげてきた。いつものお家騒動に、小泉首相から『ご苦労も多いと思う』と前原氏が同情される始末だ。加えて、耐震データー偽造事件や米牛肉輸入問題、官製談合事件など、まだ解明されていない数々の問題が、メール騒動で結果的に消し飛んでしまった罪も大きい。メールのみならず、民主党そのものへの信用が失われる事態だ。うやむやにして、ごまかそうなどとは夢にも思わぬ方がいい」。

 この社説でいう「もはや民主党の信用問題だ」は、正論であると思う。昨日の党首討論で、前原代表は、メールの真偽の立証責任を果たさなかったことによって、メールが偽であることを逆証明したことになったからである。問題は、この偽メールによって前原民主党の5点セットの追求そのものが「偽」ではないかと民意から疑われることになったことである。即ち、民意の信を失ったということである。この意味は極めて重たいと思う。前原民主党は、昨年の総選挙の大敗の歴史的教訓から、巨大与党と改革競争をする改革政党としてスタートしたはずであった。にもかかわらず、4カ月も立たずに、対案型の改革競争路線から、追求型の抵抗路線に転じて、この「行革国会」を「安全国会」にするべく、5点セットの追求に血道を上げたのである。小泉改革の影を追求したが埓が開かず、ならば闇があるだろうとしての追求が、今回の偽メール事件なのである。小泉改革の影も闇も虚なのであるからその実体はないのである。あったならば、4年10カ月も小泉政権が持つはずがないのである。その意味で05年体制の小泉政権は、55年体制の今までの旧自民党政権と本質的に違っているのである。民意の信を得ているからである。この民意の信を得ている小泉政権に対する、前原民主党が今回の偽メールで民意の信を失ったのだから政権担当能力そのものが問われることになるのである。(訪中時の分 2月24日記)



06年2月22日

カテゴリー: - - 2006年2月22日(水曜日)

1、東京の社説に「財政再建」「目標を変えたのですか」が、書かれている。

「名目成長率が高まると『財政収支』が悪化する。財務省が政府税制調査会にそんな資料を出した。だが、目標は『基礎的財政収支』の均衡だったはずだ。指標を使い分けていては、混乱を招く」。

「経済成長が財政悪化を招くとは、おや、と思う人もいるだろう。試算は『2015年度に名目4%成長を達成すると、3%の成長の場合に比べて、財政収支は約6兆円悪化する』という。成長率を巡っては、低めの成長を掲げる谷垣禎一財務相、与謝野馨経済財政・金融担当相と高成長を訴える竹中平蔵総務相、中川秀直自民党政調会長らの間で激しい論争が続いている。試算は固めの見通しで増税を視野に入れる谷垣・与謝野ラインに肩入れしたような内容だ。試算によれば、成長率が1%上がることで、税収は12兆円増える。半面、社会保障費も4兆円、金利上昇で利払い費は13兆円増えるので、財政収支は差し引き約6兆円(数字は概算)悪化する、という。この試算は誤解を招く。政府が財政再建の目標に掲げているのは、財政収支の改善ではないからだ。国債費(元本償還と利払い費)から国債発行額を引いた基礎的財政収支(PB、税収等から国債費を除く歳出の差と同じ)の均衡だ。同じ試算でPBの変化に注目すれば、税収の伸びが社会保障費の伸びを上回っているので、PBは悪化するどころか、むしろ改善する結果になる。財務省は『巨額の債務残高を減らすには、財政収支の改善が必要』と試算の狙いを説明する。たしかに債務残高が大きければ、債務残高を一定にするために必要なPB黒字幅も大きくなる。その限りで、財政収支に着目する意味もある。だが、債務残高自体を必ずしも減らす必要はない。財政を持続可能な状態にするには、国内総生産(GDP)比でみた債務残高の割合を一定にするか縮小できればよい。家計に例えれば、住宅ローンが残っていても、残高に見合う毎年の収入(経済規模)があれば、家計は破綻していないのと同じ理屈である。国と地方で800兆円に迫ろうとする債務残高そのものを減らそうとすれば、大増税は必至だ。本格的に財政再建論議を始めようというときに、財務省がこうした試算を示すのは『増税に都合のいい数字を出して、議論を誘導しようとしている』という批判すら招きかねない。それでは逆効果だ。なにを目標に掲げ、どんな財政再建を実現しようとしているのか。国民に分かりやすく、政府はあらためて議論を整理する必要がある」。

 この社説が指摘するように、政府・与党の財政再建の目標は、2011年の基礎的財政収支の黒字化である。債務残高の縮減は、政府資産700兆円の圧縮を主体にするものであり、決して大増税でまかなうとするものではない。問題は、2011年の基礎的財政収支の黒字化においての論争である。2011年度の名目成長率を4%にするか、3%にするかであり、長期金利が名目成長率を下回るか、上回るか、基礎的財政収支の赤字幅を14兆円にするのか、20兆円にするのかの論争なのである。竹中総務相が、経済財政担当相の時の経済財政諮問会議での試算が、変更されての試算になったことによって起きたものである。今後の歳出増を考慮して14兆円を20兆円にしたということは、竹中総務相が、諮問会議で批判したように「小泉改革はご破算で、裁量的経費が増えるという前提」でのものである。だから、増税が不可避だととられるが、まさに官の論理そのものである。小さな政府にするという政治的意思は極めて薄くなるのである。さらに、長期金利が名目成長率を上回ると主張する。その結果が、社説の冒頭の経済成長が財政悪化を招くという不可思議な論理となるのである。これには理由がある。民間金利と国債金利を混同しているからである。民間金利は国債金利よりリスクプレミアの分1〜2%高いのである。その国債金利と主要先進国の成長率を60年から04年までの平均でみるとドイツを除いていずれも成長率が国債金利より高く、これをドーマ条件を満たしていると言う。従って、長期金利が名目成長率を下回るように金融政策をもってすることは十分可能である。事実過去5年間のOECD諸国では、平均名目成長率5・3%、名目国債金利4・8%である。官の論理を排して、政治主導の小さな政府路線を加速させて、2011年基礎的財政収支の黒字化を達成するために、名目成長率4%は不可欠となる。官の論理からすれば難しいとなるが、過去10年間のOECD諸国の平均名目成長率は5・8%であるので、上げ潮政策の政治主導で十分可能となる。(訪中時の分 2月24日記)



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