ものづくり最前線珠海岩谷気具皆で食卓を囲む喜びを伝える 家庭で鍋を囲むときに必要なのがカセットコンロ。カセットコンロと言えば、カセットフーの商品名が頭に浮かぶ。このカセットフーを製造しているのが、岩谷産業の中国法人、珠海岩谷気具。94年に広東省珠海市に進出した同社は、中国のカセットコンロ製造のパイオニアとして現在も業界をリードする。 珠海岩谷気具は岩谷産業、日本ガス、旭製作所の3社による合弁で1994年に設立された。広くガス事業を手がける岩谷産業、ガスボンベ製造の日本ガス、コンロ製造の旭製作所という最強の組み合わせでコンロ年間40万台、ボンベ1,200万本を製造する。この40%が日本へ、30%が香港、米国、東南アジアなどへ輸出され、残り30%が中国国内で販売される。 珠海を選んだのは、進出当時すでに隣の香港には成熟したカセットコンロ市場があり、市場を見込んでのことだったという。寒い地方で売れ行きがいいのでは?と予想していたのだが、実際には現在でも華南沿海地区の都市部など所得の高いところで売れる傾向があるそうだ。 ■国家標準認定第1号 同社の谷口均総経理が93年に設立準備のために来中した当時、中国にはすでにカセットコンロやガスボンベを製造している企業はあったが、統一規格がなかった。そこで中国政府から依頼をうけ、GB(国家標準、日本のJISに相当)制定にあたってアドバイスをしたという。もちろん、同社が認定第1号となった。 日本では家庭用とのイメージが強いカセットコンロだが、中国ではレストランなど業務用の利用がメーンなのだそうだ。中国では日本ほど自宅で鍋を囲む習慣がないのが理由の一つだが、最近はマイカー普及に伴うアウトドアブームなどの追い風もある。カセットコンロだけでなく、同社の商品はガスボンベを利用したバーベキュー用プレート、ヒーター、ガスバーナ、ランタンなど、どれもアウトドアにぴったり。今後まだまだ中国市場は拡大が見込めそうだ。 ■飽くなき安全性の追求 工場の外には巨大なガスタンクが設置され、ガスボンベ製造ラインの末端部分にあるガス充填機とパイプでつながっている。工程の大部分がオートメーション化されているガスボンベ製造ラインとは違い、ガスコンロのラインは手作業で部品を組み立てていく。ラインには若い女性が多く、皆真剣な表情で作業している。素材に関しては安全ガス遮断装置などごく一部分を輸入している以外、95%は中国で調達している。 実はこのようにカセットコンロとガスボンベを両方作ったのは同社が初めてで、今でも多くのメーカーはコンロのみまたはボンベのみを作っているのだという。しかし同社は両方を生産することでより高い安全性を追求している。 また同社では、カセットコンロに関する知識をまとめた小冊子を作って配付している。小冊子とはいっても21ページにわたって液化石油ガス(LPG)の性質、カセットコンロの構造や歴史、世界各国での普及状況など、やや専門的な知識がぎっしり詰まった力作だ。 「商品の販売業者や消費者の皆さんに正しい知識を身につけて安全にカセットコンロを使ってもらいたい、という願いをこめて作りました」と、どこまでも安全にこだわる同社の姿勢が感じられた。 中国も日本と同じく、箸を使って皆で鍋を囲んで、分け合って食事をする習慣がある。谷口総経理は「カセットコンロを囲んで家族が食卓を囲む習慣は、中国でもこれからきっと根づくはず」と確信しているという。【広州・村田紀子】<広東> [P R] [P R] [P R] |
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