コメントでご質問いただいたのですが,とても重要なことだと思うので記事にして取り上げさせていただこうと思います。
保育園・幼稚園や学校,塾などで先生方から見て「この子,発達の問題があるかも?」と思われること,結構多くあるかもしれません。
先生方から見ると,とっても気になるであろうこどもたち。
ちゃんと専門機関にかかって,診断がついたほうがいいんじゃないのかな?
このままだとしんどいことが積み重なって,いずれ二次障害が出てきちゃうんじゃないかな?
そんなふうにご心配いただくこともきっと少なくないですよね。
こどもたちを丁寧に見て,気に掛けてくださって,本当にありがとうございます♪
さて,そんなとき「親御さんはこの子のこと,気にならないんだろうか? 専門機関へ行ってみようと思わないんだろうか?」と疑問に思われたり,もどかしく思われたりすることもあるだろうと思います。
これは,あくまで私の予想なのですが,…
親御さん,こどもさんに発達障害の可能性があることに気づいていらっしゃらないんじゃないでしょうか。
軽度発達障害の概念が広まったり,特別支援教育が始まったりしたことで,先生方をはじめとする「専門家」たちのなかではグレーゾーンも含めて発達に問題のあるこどもたちにとても敏感に反応してくださるようになってきたと感じます。特に,熱心な先生方ほど高感度のアンテナを張り巡らせてこどもたちの発達の問題をキャッチしてくださっていて。
でも,親御さんたちは普段の生活のなかでそこまで新しい情報に触れることはないはず。
「ひょっとして…」と発達の偏りなどを疑ってくださったとしたら,インターネットなどでもさまざまな情報を見つけることはできるでしょうけど,そうでなければ情報のほうから飛び込んでくることはないでしょうし。
さらに,親御さんはご自分のこどもさんのことはよく見ておられるとしても,その年齢のほかのこどもたちとの違いに気づくほどたくさんのこどもたちの様子を見て比較する機会はないはずです。
だから,特にグレーゾーンのこどもさんだったりした場合には勉強のことや躾(たとえばTPOに合わせた振る舞い)のことなど,もしも気になっていたとしても「うちの子がちゃんとやらないから」「私の育て方が悪かったから」という方向に考えが向いてしまいがちで,こどもさんの持って生まれた特性のためじゃないだろうか,とか,専門機関に相談に行ったほうがいいだとか,そういう発想にはならないのではないでしょうか。
だから,こどもたちの発達障害に気付いていない親御さんを責めてはいけない,と私は思っています。
そして,もしも気付かれたとしても,
こういう事情で受診になかなか至らないこともあるのだろうと思います。
それから。
学校などの先生方から「障害があると思うから受診してみては?」と勧めていただくこともあると思います。
先生方や私たちのイメージする発達「障害」と,親御さんが一般的にイメージする「障害」にはまだまだかなり大きな開きがあることが予想されるので,できれば受診を勧めていただくときには「障害」ということばを使わないでいただくと誤解が生じにくくていいのかな,と思ったり。
たとえば「息子さんは授業中も本当にがんばっているというのがよく伝わってくるけど,私(先生)の教え方だとうまく理解しにくいことがあるよう。以前,同じようなこどもさんを担当したことがあって,そのときは専門機関に相談に行っていただいたらその子に合わせた伝え方があるとわかって,学校としてもうまく教えてあげられるようになったし,その子自身の力もぐんぐん伸びていって自信がついたようだった。私が気にしすぎているだけかもしれないけど,私たちが彼の個性や特徴に配慮して関わればもっとうまく教えられたりするかも知れないので,念のため専門機関に行って相談してみてはいただけないだろうか?」くらいの勧めかたをしていただけると,親御さんも「そんなこともあるのかな?」と受診していただきやすくなるかもしれません。
ぜひとも先生方からは,「障害だというレッテルを貼りたいわけじゃない,こどもさんのためによりよい方法があるなら知りたい」と,そんな思いを親御さんに伝えていただきたいのです。
そしてせっかく受診していただけたのなら,私たち専門家は,親御さんやこられどもさんたちを責めず,お役に立てそうな情報を精いっぱい提供し,これまでのがんばりをねぎらって,お力になれたらいいな,と思っています。
勇気を振り絞って受診していただいたことを絶対後悔させたくないし,絶対無駄にしたくない。
そんな思いで,診察室へ来てくださるこどもさんと親御さんをお待ちしている毎日です。

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