若い女性を魅了、こけし再人気 大崎・鳴子
若い女性のハートをつかむきっかけの一つとなったのは、こけしとロシアの入れ子人形「マトリョーシカ」のコラボレーション。初めての展覧会が8月から、東京都内で開かれた。 企画したのは、こけし研究家で写真家・詩人の沼田元氣さん。こけしを参考にマトリョーシカが考案されたという逸話に着目、日ロの職人を橋渡しした。鳴子、弥治郎などの工人がマトリョーシカに絵付けした「コケーシカ」と、こけし木地にロシアの職人が彩色した「マトコケシ」が並んだ。 鳴子から参加した工人の早坂利成さん(48)は数年前から、変化を感じ取っていたという。「工房や展示会に来る若い女性が増えてきた。一風変わった作品が新鮮に映るようだ。伝統を守りつつ、新しいことに挑戦すれば、魅力に気付いてもらえる」と力を込める。 鳴子温泉で今月上旬にあった全国こけし祭りでも、浴衣姿で工房を巡る女性客が目立った。観光施設での体験絵付けには女性ばかり約50人の団体が参加、関係者を驚かせた。 コケーシカの展示で興味を持ち、鳴子温泉を訪れた東京都の会社員菅原百合さん(33)は「こけしは奥が深い。工人さんが実際に作る姿に感激した」。鳥取市の書店員塩かおりさん(28)は「こけしがこんなにかわいいとは知らなかった」とすっかり夢中になった様子だ。 こけしは1960年代に全国的なブームとなったが、近年は多くの産地が観光客の落ち込みや後継者不足に悩んでいる。 人気の再燃を受け、鳴子温泉観光協会などは沼田さんとイラストレーター杉浦さやかさんに依頼、こけし工房マップも用意した。 協会の吉田惇一常務理事は「こけしは工人の暮らしや街の歴史も伝えてくれる。若い人たちに魅力が伝われば、鳴子温泉の良さも感じてもらえるはず」と期待している。
2008年09月21日日曜日
|