現在、世界各国の法人税率は引き下げられる傾向にあります。オランダも例外ではなく、2007年1月1日に法人税率を29.1%から25.5%に引き下げました。オランダの法人税率は1998年34.5%であったので、10年近くの間に9%も下がったことになります。
現在の法人税率の25.5%は、当初は25%とする計画だったのですが、0.5%上乗せする形で決着しました。その背景には、日系企業の存在がありました。
2006年4月、オランダ財務省の高官は、法人税率を25%にすると公表しました。これは日系企業にとって寝耳に水の形で非常に衝撃的なものでした。なぜなら、法人税率が25%になると、オランダは日本から見てタックスヘイブン国になってしまうからです。
25%以下になると、合算課税されてしまう
日本の法人税制では、外国の法人税率が25%以下の国をタックスヘイブン国として、一定の適用除外基準を満足しない限り、タックスヘイブンにある子会社の利益を日本の親会社の利益と合算課税するとしています。オランダにある日系企業は、持ち株会社や金融子会社、販売会社が多くあります。これらの日系企業のほとんどは、合算課税の適用除外の基準を満たすことができないため、日本で課税される事態になりかねません。
オランダは税務の国であり、国際税務の中でも重要な位置づけにある国です。しかしタックスヘイブン税制による合算課税の対象になると、場合によってはオランダに会社を置くことが不利、必要なしということにもなりかねません。
こうした事情もありオランダ日本商工会議所は、オランダ財務省に対し、法人税率25%の日本企業に及ぼす影響を説明し、税率を引き下げることについて再検討してほしいという強い要望を提出しました。彼らの要望をオランダ政府も真摯に受け止めました。
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