「クー」ありがとう、さようなら
名古屋港水族館、献花台に次々花束
クーちゃん、ありがとう―。19日に死んだシャチの「クー」(雌=推定18歳)をしのんで名古屋港水族館(名古屋市港区)に献花台が設置された。訪れたファンの親子連れらが花を手向けた。
献花台が設置されたのは北館2階シャチプール前。クーのパネルと思い出を記すノートも置かれ、子どもらがメッセージを書きつづった。子どもたちは「クー、ばいばい」「ゆっくり休んでね」とアイドルにお別れを告げていた。
千種区の会社員友田友加里さんは「ちゃめっ気があってほかのシャチとは違った。ありがとうと伝えました」。中川区の親子連れは「年間パスポートを使ってクーに会いに来ていました。人間らしくて面白かった」と思い出を語った。
献花台は1週間ほど設置する予定。
■7月にレンタル更新したばかり
クーは2003年に5年間の契約で、繁殖生理の共同研究を目的に和歌山県太地町の「町立くじらの博物館」から借り受けられた。10月27日で契約が切れるため、まだ体調の良かった今年7月10日に、さらに5年間の契約更新(計1億5000万円)を行ったばかりだった。
同水族館の星野正典専務によると、7月に交わされた契約更新の規約で「シャチが死亡、繁殖能力の欠如などの場合」との項目で契約の破棄が明記されているという。「契約金はクーの個体評価額。新たに契約した10月27日以降の契約は破棄される」(星野専務)
残り1カ月の契約期間分の金額やクーの輸送手順などを太地町と話し合っている段階だという。
水族館の人気者がいなくなってしまったことに星野専務もショックを隠せない。「クーが亡くなってしまったのは非常に残念。岐阜県の著名な獣医師に解剖を依頼しており、クーのデータを今後の研究に生かしていきたい」と寂しそうに語った。
【写真説明】クーへの思いと花を手向ける=20日午前、名古屋港水族館(名古屋市港区)
(2008年9月20日更新)
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