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教科書:300カ所余りを削除・修正しても「左寄り」

 教科書フォーラムは今回の報告書で「金星出版社の韓国近・現代史教科書2008年度版では、約300カ所が削除ないし修正されたが、基本的な歴史観は変わっていない」とし、代表的な部分17カ所を分析した。一通り削除と修正作業を経たことは、03年から5年間教育現場で使われてきた従来の教科書に無理な部分が含まれていたことを執筆者が自ら認めたと解釈することもでき、注目されている。

 「大韓民国の正当性を否定する代表的な叙述」と見なされていた264ページの「南韓(韓国)側だけの政府がつくられたことは、統一民族国家の樹立が失敗に終わったことを意味していた」という文章はすべて削除された。「分断の責任を南側に負わせたもの」と解釈することが可能だった「南韓で単独政府樹立の動きが表面化するや、北側も政府樹立に拍車を掛けた」(265ページ)という文章も消えた。「セマウル運動は、朴正煕(パク・チョンヒ)政権が大衆の支持を基盤とする長期政権を正当化するための手段だったと評されている」(334ページ)という部分は、「朴正煕政権の独裁と維新体制を正当化するのに利用されもした」という表現に変わった。

 しかし、北朝鮮に対する記述はむしろ「改悪」された部分がある、と教科書フォーラムは分析している。従来の教科書では、307ページで「深刻な食糧難で脱北者が増加し、金正日(キム・ジョンイル)総書記に対する北朝鮮住民の信頼度も低下している」など、北朝鮮体制の危機を叙述した部分があったが、今回これが削除された。また、314ページで扱われていた1994年の北朝鮮の核危機の状況も、削除されてしまった。さらに、同じ個所で北朝鮮の核開発をめぐる国際的緊張に言及しながら、2006年10月の北朝鮮による核実験そのものについては沈黙している。

兪碩在(ユ・ソクジェ)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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