19日のニューヨーク証券取引所。米政府の金融危機対策への期待感から株価は上昇した=ロイター
【ワシントン=西崎香】米政府は20日、金融危機に歯止めをかける不良資産の買い取り制度をめぐり、法案審議が必要な議会との最終調整を続けた。総額7千億ドル(約75兆円)の規模など大枠で詰めている。民間から資産投資の専門家5人ほどを財務省が招き、入札で最安値の資産を買う方式を検討。新たな機関発足には時間がかかるため、即効重視で省内に組織を設ける方針という。
不良資産の買い取り対象は銀行や証券など米国に本店を置く「すべての金融機関」だが、投機的取引で知られるヘッジファンドなどを除くことも検討されている。米金融機関に絞るのは、対策による最終的な負担が米納税者でまかなわれる可能性があるためで、恩恵も米企業に振り向ける狙いがあるとみられる。米メディアが伝えた。
外国の金融機関の支援では、外国政府に同様の買い取り計画の実施を提案しているという。低所得者向け(サブプライム)住宅ローン問題による今回の金融危機は米国が震源地だが、外国の金融機関なども大きな利益をあげたので、応分の処理負担が必要との認識とみられる。
買い取る不良資産の範囲は、住宅ローンや商業不動産への融資などを検討しているほか、証券化で生み出された住宅ローン担保証券(MBS)などの金融商品が対象。将来的に学生ローンなど、景気に影響の大きい債権も視野に入れている。今月中旬に財務諸表に計上されていることを条件にする見通し。
買い取り制度の内容は議会との調整で変更される可能性があるが、財源として、買い取り状況に応じ500億ドルずつの国債を発行する計画。政府が買い取った資産を売却するまでの期間制限は設定せず、かなり長期の「塩漬け」になる可能性もあるという。