中国製ギョーザの中毒事件が発覚した後も、不正を続けていたのには、開いた口がふさがりません。
三笠フーズ(大阪市)による、農薬やカビ毒に汚染された米の転売問題です。混入しているとは知らずに購入した流通や食品業者の怒り、戸惑いは察するに余りあります。
食品業界ではここ十年ほどで、食の安全・安心を確保する取り組みが急速に進みました。岡山県内でも、衛生面への配慮から、HACCP(ハサップ)と呼ばれる製造工程の品質管理プログラムに対応する設備投資が続いています。
こうした工場では、取材にも万全を期します。記者やカメラマンは頭のてっぺんから靴まで衛生服を身に着け、入り口でエアシャワーを浴びなければ入場が許可されません。
「設備費がかさんでも、信頼には代えられない」。数年前、HACCP対応の工場をまとめて特集した際、経営者は口をそろえていました。
とはいえ、調達した原料に問題があったとしたら、すべてが台無しになります。それだけ業界全体に与えたダメージは大きいと言わざるを得ません。
不正転売が許されないのは当然ですが、今回の問題では、農林水産省のずさんなチェック体制も浮き彫りになりました。発覚後の対応の遅れも目を覆うばかりです。
今後は政府による汚染米の販売を中止する方針といいますが、風評被害防止も含め、責任ある対応なくしては、消費者も圧倒的多数を占める善意の業者も納得しないはずです。
(経済部・大森知彦)