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厚生年金改ざん 組織的関与の実態つかめ

 厚生年金の算定基礎となる標準報酬月額の改ざん問題で、舛添要一厚生労働相は改ざんが疑われるケースが六万九千件見つかったと、参院厚生労働委員会で明らかにした。さらに舛添氏は、社会保険庁の組織的関与について「極めてクロに近い。組織的関与があったと推量する」と事実上認めた。

 社保庁の不祥事は一体、どこまで続くのだろうか。もういい加減にしてほしいと、誰もが思っているのではないか。

 職員の怠慢によるミスである「宙に浮いた」五千万件の年金記録問題の解決も道半ばの状況だ。そこへ新たに浮上した職員による意図的な改ざんである。知らぬ間に年金受給額を減らしていただけに、悪質さにおいては入力ミスとは比べものになるまい。国民の年金不信がさらに高まるのは間違いない。

 労使が折半して負担する厚生年金の保険料は、三十等級に区分されている標準報酬月額をもとに決められる。過去にさかのぼって標準報酬を減額したり、加入期間を短く改ざんしたりすれば、経営難の会社などは保険料負担を減らすことができる。社会保険事務所も保険料の収納率を上げられるため、以前から改ざんの常態化を指摘する声はあったという。

 総務省の年金記録確認第三者委員会が改ざん被害を認めた事例では、改ざんにより年金受給額が最高で年間二十五万円、平均で五万五千円減っていた。

 これまで社保庁が職員の改ざん指導を認めたのは、相手方の会社社長が職員の筆跡による書類を保管していた一件だけだ。組織ぐるみで改ざんを持ちかけていたとすれば言語道断と言わざるを得ない。

 社保庁は、厚生年金の全オンライン記録約一億五千万件を対象に「標準報酬を五等級以上引き下げ」「六カ月以上さかのぼって記録を変更」などの条件に該当する不審な記録を検索した結果、六万九千件がヒットした。うち約二万件が年金受給者、残りが加入者の記録だった。社保庁は、来年初めから受給者、加入者に標準報酬の履歴を送り、不審な点がないか確認してもらい、記録を回復するよう促すという。遅すぎないか。

 六万九千件の数字も年金記録がオンライン化された一九八六年以降に限ったもので、被害はさらに拡大する可能性が高い。厚労省はまず、改ざんへの組織的関与について実態を解明すべきだ。徹底的にウミを出し、責任の所在を明確にしなければならない。合わせて年金が減額されている人への救済措置を急ぐ必要があろう。


太田農相辞任 問われた消費者軽視姿勢

 太田誠一農相が、カビ毒や基準値を超えた農薬で汚染された事故米の不正転売問題の責任を取って辞任した。農相に辞意を伝えた農林水産省の白須敏朗事務次官も閣議で了承され、更迭された。

 大臣と事務方トップの引責辞任とは異常事態だ。だが、国民の食に対する信頼を失墜させた責任を考えれば当然だろう。総選挙をにらんで、政府も責任を明確にしておく思惑があったと思われる。

 一連の問題で農水省の対応は鈍すぎた。食の安全の問題であるのに、情報開示などで消費者が二の次にされた。太田農相は、就任後に消費者軽視発言が問題となったこともある。汚染米問題では「あんまりじたばた騒いでいない」と、事態を軽視するような発言を行い批判を浴びた。白須次官も記者会見で「私どもに責任があるというふうに考えているわけではない」と述べ、後に撤回し陳謝している。トップの認識不足が、対応の遅れを招いた元凶だろう。

 事故米処理で、農水省の失態は明らかだ。不正転売された工業用の事故米が食用にならないためのチェックがなかった。悪徳業者が利ざや稼ぎを狙うことを想定していなかったとはあきれるしかない。

 情報提供があったにもかかわらず、農水省職員の立ち入り調査で不正を見抜けなかったのも問題だ。おざなりな検査は業者とのなれ合いを疑わせる。職員の意識改革が求められよう。

 汚染米問題は、被害が全国へ拡大して一向に終わりが見えない。辞任で幕引きとしてはならない。国民が求める食の安全・安心の確立は急務である。農水省は、汚染米の販売中止などを含む再発防止策を発表したが不十分だ。政府全体で消費者行政を推進する姿勢が重要だ。

(2008年9月20日掲載)
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