ニュース: 生活 RSS feed
メラミン乳流通か 丸大が5商品回収
食の安全を脅かす問題が後を絶たない。中国で死者を出した有害物質「メラミン」による食品汚染が日本に飛び火した。食品大手「丸大食品」(大阪府高槻市)は20日、中国子会社が製造した菓子などの一部に、メラミンが製品から検出された中国メーカーの牛乳を原料として使っていたと発表。総菜は日本に輸入され全国販売されていた。事故米の転売問題では、カビの付着した事故米から製造した「でんぷん」が、千葉県と長野市で学校給食用の卵焼きに使われていたことも同日、発覚した。消費者の食に対する不安は収まりそうにない。
●確認は初
丸大食品は20日、同社の菓子や総菜の5商品について、メラミンが検出された中国メーカー製の牛乳を使用していたとして自主回収を始めた。健康被害の報告はないという。メラミン混入が発覚した中国の乳製品メーカーの牛乳が、国内販売された食品に使われていたことが確認されたのは初めて。
丸大食品の自主回収を受け、厚生労働省は同日、全国の検疫所に中国製加工食品の検査強化を指示、菓子などの食品団体に自主検査を実施するよう指導。加工食品の輸入業者に対しても点検を指導。混入が確認された場合は、自主回収を呼びかける。
回収対象は、冷凍・チルド食品の点心類など5商品で、「抹茶あずきミルクまん」(8個入り)▽「クリームパンダ」(6個入り)▽「グラタンクレープコーン」(7個入り)▽「角煮パオ」(4個入り)▽「もっちり肉まん」(8個入り)。「抹茶」など3商品は、丸大の中国子会社「青島丸魯大食品有限公司」(山東省)が製造したものを輸入。「角煮」と「もっちり」は、中国メーカーが製造した商品を、自社ブランドで販売していた。
中国での問題の広がりを受け、同社が調査したところ、中国の乳製品大手「伊利集団」製造の牛乳使用が発覚した。
5商品は昨年4月から販売。売れ行き不振で大幅減産しており、店頭に残っているのは計2700〜2800袋とみられる。イトウヨーカドーやダイエーなど全国のスーパーではこの日、店頭から対象商品が撤去された。
丸大食品は、外部の検査機関にメラミンが実際に商品に含まれているか分析を依頼しており、今月末までに結果が判明する見通し。
問い合わせは丸大食品のお客さま相談室、フリーダイヤル(0120)338845。
■メラミン 尿素とアンモニアから合成され、メラミン樹脂の原料となる。樹脂は表面が硬く、接着剤や塗料、食器などに使用。国立医薬品食品衛生研究所のウェブサイトによると、口から大量に摂取すると、腎臓やぼうこうに影響が出て、結石ができることがある。皮膚に付いたり、口に入ったりした場合は、応急措置として水などで洗浄する。米国で昨年、中国産原料を使ったペットフードを食べて死ぬ犬や猫が相次ぎ、米政府はメラミンが検出されたとして輸入を禁止した。
●汚染米給食拡大
島田化学工業(新潟県長岡市)がカビの付着した事故米から製造した「米でんぷん」が、千葉県と長野市で学校給食用の卵焼きに使われ、計約9万食が提供されていたことが20日、分かった。健康被害などの報告はないという。
いずれも食品加工会社「すぐる食品」(東京都目黒区)の製品。事故米を含むでんぷんの割合は100グラム当たり約0・7グラムで、提供された厚焼き卵は、1人当たり50〜63グラム(1切れ)だった。
千葉県教育委員会によると、平成19年4月から12月までの間に、このでんぷんが使われた給食用卵焼き「手づくり厚焼玉子500」が、県内の小中学校114校を含む128施設に計約6万700食提供されていた。
長野市教委によると、19年度の1年間に、市内19小学校と7中学校に計約3万1400食が提供されていた。卵焼きは50グラムと62・5グラムの2種類で、すぐる食品から食品卸会社「ナガキュウ」(長野県松本市)長野営業所を通じて、学校給食センターや共同調理場に納入されたという。
島田化学工業の事故米転売では、愛知県の小中学校などに5年間にわたり提供されたオムレツ約45万食に、問題のでんぷんが使われていたことが分かっている。