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(2007年8月16日更新)

市長の元気¢配便 No.41〜

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(41) 屋根のある街

 私は素人ながら絵を描くのが好きで、移動する電車やバスの中で外の景色をスケッチしたりします。今の季節であれば頂上に雪をいただいた山並みなど、心に感動を覚えたものを描きます。かって商社マン時代に外国に駐在したり、海外出張に出かける機会が多くありましたが、欧米、特にヨーロッパの街並みにはしばしば目が釘(くぎ)付けにさせられました。著名な画家の絵画にはヨーロッパの古い建物、中でもお城や寺院などがよく描かれています。街並みが感動を呼ぶ要因はいろいろありますが、一つの重要な要素はその屋根の形にあると思います。

 

 お城や寺院の屋根は尖塔(せんとう)といわれるとがったものや、円屋根などさまざまな形があり、色彩もあふれています。日本では、京都などもなかなか絵になる街だと思いますが、さまざまな神社仏閣や御所、お城などの屋根も人々の心を惹(ひ)きつけている要因なのではないかと思います。

 

 2年ほど前、ある席で早稲田大学の伊藤滋教授とご一緒する機会がありました。教授は、都市景観の再整備に積極的に取り組んでおられる方ですが、「建物に屋根をかけよう」と言っておられたことを思い出します。「最近は個性の乏しい四角い箱のような建物が増え、その屋根は何の変哲もない平らな屋根が多くなり、マンションやオフィスビルなどを上から見ると屋上には空調機や水槽、広告塔などが雑然と並んでいる様は見るに耐えない。出入り口や壁面には気を使うが、屋根にはあまりにも無関心すぎる」と嘆いておられました。

 

 都市景観の重要性が認識され、昨年「景観緑三法」が制定されました。従来の個性のない不揃(ふぞろ)いな街づくりをやめ、電線の地中化、違反広告の撤去などにより良好な都市景観を作っていこうというものです。滞在型観光都市、国際会議都市を目指す当市としても緑化、無電柱化、違反広告物規制などとともに四角いビルに屋根をかけることで岐阜らしい景観形成ができないものでしょうか?都市景観は一人ひとりが街全体の景観形成を意識し街並みと調和の取れた建物を作っていくことにより達成されるのです。

 

(42) 灯台下(もと)暗し

 隣の芝生は青く見える!という諺(ことわざ)があります。自分のものより他人のものがよく見えてしまうことです。ついつい他と比較してしまうのは世の常なのでしょう。他との比較は発憤材料になり、自分ももっと頑張ろうという向上心につながります。しかし、あまり過度になると、あきらめになったり、愚痴になったりと後ろ向きになってしまいます。

 

 自分のこと、自分の街のことを、もう一度見つめ直してみましょう。まさに灯台下暗しで、意外に知っているようで知らないのが自分のこと、自分の街のことだと思います。よく見るといろいろ良いことが一杯見つかると思います。私の大好きな故郷・岐阜市は景観的にも、歴史的にも、また環境面でも世界に誇れるすばらしい街だと思います。40万都市の真ん中に斎藤道三、織田信長が天下統一を夢見て、その居城を構えた緑豊かな金華山がそびえ、その麓(ふもと)を清流長良川が緩やかに蛇行しながら流れる姿はまさに箱庭シティーです。1300年の歴史を誇る鵜飼だけではなく、672年の壬申の乱における美濃人の活躍や、戦国時代から安土桃山時代にかけて美濃の国の果たした役割は、まさに日本の運命を左右したと言っても過言ではないと思います。少子・高齢時代の波は容赦なく地方都市に押し寄せ大都市との格差は一層顕著になってきます。岐阜市を含む地方都市にとって今ほどその存在意義、個性が問われているときはないと思います。

 

 岐阜公園の中にある歴史博物館が、いよいよ3月26日リニューアル・オープンします。信長の時代の楽市楽座の町並みが再現され、自分自身で当時の疑似体験ができます。是非、天下の中心であった美濃の国を実感し、自分たちの郷土の歴史を再認識し、誇りを持って、市民との協働の街づくりを進めていきたいものです。2月に行われた第2回全日本学生落語選手権も大いに盛り上がり、落語の祖、安楽庵策伝(あんらくあんさくでん)和尚の生誕の地、岐阜も定着してきました。他にも誇るべき歴史、自然環境、景観など数え上げればキリがありません。

 

 すばらしいDNAを受け継いでいる私たちです。自信と誇りを持って新しい時代の街づくりに取り組んで行こうではありませんか。

 

(43) “ゆとり”・・・ ゆとり教育を考える

 最近、「ゆとり教育」の見直し論議が盛んになってきました。国際比較した日本の児童・生徒の基礎学力が低下したのは3年前に文部科学省が導入した完全学校週5日制のせいではないかというものです。学力が2年や3年で急に低下するものとも思われませんが“ゆとり”とは何かを今一度考えてみる必要があるようです。

 

 広辞苑によれば、“ゆとり”とは「余裕があること、窮屈でないこと」とあります。人間は制約を受けたり強制されたりした状態では自由奔放な発想や創意工夫ができず、社会の発展の阻害要因となります。国が規制改革、構造改革によって、さまざまな規制や制約を取り除き、自由な経済活動による国の発展を目指そうとしているのは、その良い例です。教育においても自由に学ばせる環境は同様に重要です。

 

 日本は戦後の復興期、必死に学び、働き、ついに世界第2位の経済大国になりました。この間、モーレツ人間、エコノミック・アニマル、さらには受験地獄という言葉が流行しました。受験地獄に代表される教育環境は詰め込み教育、徳育軽視、創造力より偏差値偏重(自分の価値観の確立より、先人たちの価値観を知識として知っていることを重視)など、さまざまな弊害があり、自由奔放とは程遠いものでした。そこで出てきたのが、ゆとり教育の議論なのです。残念ながら大学全入時代も視野に入った平成15年になって、ゆとり教育が導入されたのは、農耕民族特有の何事も慎重にじっくり時間をかけるという、日本型意思決定過程のせいなのでしょうか?

 

 ゆとり教育として、週5日制導入などによる授業時間の短縮、円周率をおよそ3とする(従来は3.14と教えた。)などに代表される指導内容の簡素化(?)が実行されましたが、ゆとり教育とは時間を短くし、教える内容を簡単にすることと単純化され過ぎてはいないでしょうか?自分自身の価値観を築き、個性溢(あふ)れる独創力を発揮するためには基礎的な学力、他人との意思疎通能力、先人から学んだ知識など多くの土台を必要とします。基礎学力が最終の目的ではなく、独創性、個性を発揮するための手段であると認識すれば、ゆとりも基礎学力もともに必要不可欠なものであると分かるはずです。「ゆとり教育」を決して“ゆらぎ”教育にしてはいけないと思います。

 

(44) 十人十色(じゅうにんといろ)

 世の中には実にいろいろな人がおられ、いろいろな考え方があるものです。小泉総理が年金問題をめぐり“人生いろいろ”発言をして物議をかもしましたが、人間の性格や考え方は育った環境、人間関係、経験などさまざまな要素が複雑にからみあって形成されていきます。驚くような経験を積んだ人や特異・特殊な技能や知識を持った人もいます。クローン人間ばかりでは見た目も考え方もみな同じで、味も色気もない世の中になってしまうでしょう。さまざまな個性、多様な価値観は世界の発展の母です。

 

 自分では思いもつかないような他人の発想や行動に驚かされることも少なくありません。なるほどと思うこともあれば、ちょっと違うかなと思うこともあります。世の中や自然界は実に多種多様、複雑怪奇、そんなに単純ではありません。自分の尺度だけではなく、他人の価値観も含め、さまざまな角度から常に検証してみる必要があります。テレビ番組などでよく識者といわれる大学の先生や、評論家の方々が登場され“なるほどなあ、そういう見方や考え方もあるのだなあ”と頷(うなず)かされる意見や見解を述べられることがあります。

 

 しかし、これらのご見識を無批判に受け入れるのではなく常に自分の視点で再検証してみる必要があると思います。健康・福祉政策、環境政策、産業政策、総合交通政策など、いろいろな場面で市民の皆さんの意見に耳を傾けつつ、将来の都市像や財政状況を考え、熟慮に熟慮を重ね、市長として決断しておりますが、それらの結論にすべての人が賛成とはなかなかいかないもので市民やマスコミの方々からさまざまなご意見をいただきます。人間、自分の見解と違うとなかなか納得できないものでつい口調も強い調子になったりするのだと思いますが、かなり手厳しくご批判を受けることもあります。しかし、これらのご批判にはなるほど自分の視点に欠けていた点があるなと思わされるものもあり、他人の意見の重要性を認識させられます。

 

 個性、多様性は人類進歩の源(みなもと)。これからも市民の皆さんの貴重なご意見に耳を傾けながら市政に取り組んでいきます。

 

(45) 進化する長良川鵜飼

 愛知万博『愛・地球博』の影響もあり今年の長良川鵜飼観覧船の予約状況が好調です。4月中旬時点での予約が昨年一年間の鵜飼観覧船乗船者実績の10万人を超えました。5月11日の鵜飼開きまで1カ月もあることを考えると近年まれに見る状況といえます。昨年は台風などの影響による鵜飼中止は15回を数えました。今年は天候に恵まれれば年間13万人程度の乗船客を目標にしており、多くの人に観覧船から鵜飼を楽しんでもらえると思っています。

 

 4月3日には原則として歩行空間となる長良川右岸回遊路(通称長良川プロムナード)が完成しました。この結果、鵜飼開催時に大きな障害となっていた通行車両のヘッドライトが遮断され、漆黒に近い異次元空間の中での鵜飼観覧が実現できることになります。プロムナードには椅子(いす)代わりになる石段も設けられ今年は観覧船からだけではなく岸辺からも鵜飼を楽しんでいただけるようにいたしました。

 

 現在は、全国で12市町村が鵜飼を開催しています。お隣の関市や犬山市のほか京都の嵐山、宇治市など観光鵜飼として全国的にも名前が通った地域もあれば、年間乗船客数、数百人の所までさまざまです。岐阜市を除く開催地の乗船客数は多い所で年間3万人程度であることを考えると岐阜市の年間10万人を超える乗船客数というのは圧倒的に多いといえます。織田信長をはじめとする歴代の為政者に保護されてきた歴史、また現在では6人の鵜匠さんが宮内庁式部職に任命されるなどの手厚い保護がこの乗船客数を支えてきたのでしょう。

 

 鵜飼をこよなく愛したチャップリンが2度目に長良川の鵜飼を見たとき、周辺のホテルや自動車などで明るくなり過ぎたことを嘆いたそうですが、漆黒の中での幽玄な鵜飼が戻ってくる今年の鵜飼は大いに期待できそうです。1300年の歴史を誇る長良川鵜飼を世界無形文化遺産の指定を目標に、市民の皆さんと一緒に育て上げていこうではありませんか!

 

(46) 岐阜発 法律改正・・・ “水防法”が変わった!

 4月22日国土交通省提出の水防法改正案が参議院で可決されました。特筆すべきはその第6条の3で『専任水防団員に退職報償金を支給することができる』という条項が入ったことです。長良川は昭和34年の伊勢湾台風、昭和51年の9・12災害、昨年10月の台風23号など古来多くの水害をもたらしてきました。これら水害の際に命を張って市民の生命・財産を守っていただいているのが水防団員の人たちです。

 

 岐阜市には1600人以上の団員がいます。今までは水防団員に対する退職金の支払について明確な法律上の条文がなかったのですが、今回の法律改正により明文化されたのです。今回の法律改正が、日夜危険を顧みず水防活動に従事している水防団員の人たちの後ろ盾となり、今後一層の使命感と誇りを持って市民のため頑張っていただけると思います。

 

 全国700を超える市ではほとんどが消防団と水防団が一体となった消・水防団として対応しており、消防団と水防団が分離しそれぞれの任務に当たっているのは例外的に岐阜市など10市のみとなっています。そのためか水防団に対する身分規定が消防法などに比べやや不備であったのも事実で、昨年来水防協会の皆さんと一緒に関係国会議員に要望書を提出したり、国土交通省河川局など関係省庁にさまざまな形で法律改正を働きかけてきました。

 

 道のりは容易なものではありませんでしたが、3年前に始まった構造改革特区への申請や岐阜市と同様、専任水防団を設置している浜松市や静岡市への働きかけなどをした結果、熱意が通じ、昨年末国土交通省河川局内に水防法改正のための専任チームが設置されました。そして今年2月1日に閣議決定、衆議院を経て、去る4月22日参議院を通過し法律として成立したのです。国土交通省河川局の深いご理解とご協力に感謝するとともに、情熱と信念を持って説明し、行動していけば地方からでも国の法律改正につなげることができるのだということを証明でき、うれしく思いました。

 

(47) 「岐阜市民病院」奮戦中!

 最近発行されたある月刊誌に『胃がんに強いトップ10病院ランキング』という記事が載っており、その中でわが岐阜市民病院が全国で第6位にランクされていました。また、ある週刊誌では『名医が選ぶ五大ガン最高の名医』として胃がんのトップ5の名医の中に岐阜市民病院の副院長の名もありました。これらは岐阜市民病院の医療技術力の高さを裏付ける記事といえるでしょう。

 

 市民病院に関して最近2通のお手紙を頂戴(ちょうだい)しました。お二人とも岐阜市民病院に入院された経験があり、その際の印象を綴(つづ)られたものです。両方に共通しているのは、先生はじめスタッフの皆さんが優しく親切でいつも笑顔で対応していただけたというものでした。お一人の方は近畿地方の病院で4度の手術にもかかわらずうまくいかなかったものが、岐阜市民病院で手術を受けたら一度で成功したとその医療技術力の高さを高く評価しておられました。あわせて整理整頓の充実、親しみのある笑顔、優しい言葉遣い、機敏な行動、いたわりと励ましの言葉、時としてき然とした患者さんへの指示など、いろいろ感銘を受けたと記されておられました。

 

 これら励ましのお言葉により岐阜市民病院で働くスタッフは大いに勇気づけられ市民の皆さんのためますます努力を重ねていくものと確信しております。岐阜市民病院では約90人の医師と400人を超える看護師など、総勢約700人のスタッフが日夜を問わず皆さんの健康と生命をお守りするため頑張っています。平成14年に岐阜市医師会と連携して開始した『小児夜間急病センター』に加え、本年4月からは『女性専用外来』を設置しました。本年1月には厚生労働省から『地域がん診療拠点病院』の指定も受けました。1日の外来患者約1干700人のうち岐阜市外からの患者さんは約30パーセントおられます。岐阜市民病院は今後とも岐阜市民のみならず岐阜圏域全体の皆さんから信頼され親しまれる地域拠点病院として頑張っていきます。

 

(48) 多様性の力

 相変わらず世界各地で紛争が絶えません。領土問題、人道問題、人種問題などさまざまな原因がありますが、多くの場合その根底に宗教上の争いがあるような気がします。日本は多神教の国と言われるように古来、いろいろな宗教が並存し互いの価値観を容認する文化があり、一神教といわれる国々に比較しおおらかなのではないでしょうか。

 

 アメリカ合衆国は長い間、世界経済の牽引役として成長をとげてきました。背景には種々の要因が考えられますが、そのひとつに人種や民族の多様性があります。ニューヨークはよく“人種のるつぼ”と言われるように実に多くの国々から来た人々によって構成されています。異なった人種や民族は、異なった言語、生活様式、文化、価値観を持ちます。そうした価値観をぶつけ合い、磨き合う中で次なる発展に向けてのエネルギーをつくり続けてきたのだと思います。東京も日本を代表する大都市として発展してきました。やはり政治、経済、文化などの中心地として日本中のさまざまな地方の人々が異なった気質、文化、価値観を持ち込みその多様性の中で発展の原動力となるエネルギーを生んできたのだと思います。情報化が進み、グローバル化が進む中、世の中は大変な勢いで変化していきます。特定の一つの価値観や考え方にこだわっていては時代の流れについていけません。地方分権が進む中、地方都市は自ら決定し、自ら責任をとる自立した自治体を目指すことになります。自分の街だけでこじんまり固まり自己完結型の街づくりを目指すより、外の風を取り入れ自分にない価値観を積極的に取り入れていく姿勢が必要です。

 

 今年1月、名古屋から電車でわずか17分の岐阜駅前に中部9県で最も背の高い住居系ビル、「岐阜シティ・タワー43」の起工式が行われ、5月には1500人の昼間人口を擁する「大岐阜ビル」が完成しました。中部経済圏の一員として名古屋など他都市とエネルギーの交換をしながら、一段の飛躍を目指す基盤が着々と整備されてきています。外の風、自分以外の価値観を積極的に受け入れ、地方分権時代の厳しい都市間競争に打ち勝っていこうではありませんか!

 

(49) 岐阜にJリーグを!市民の力を一つに!

 サッカー日本代表チームがタイのバンコクで北朝鮮との無観客試合に勝ち、来年ドイツでのワールドカップ出場を決め、日本中が興奮の渦に包まれたのはまだ記憶に新しいところです。ヨーロッパや南米をはじめ多くの国では、自分の国を愛する気持ちを皆で再確認するかのように熱烈に自国チームを応援します。スポーツにはいろいろな楽しみ方があります。みずから身体を動かし汗をかくのも良し。プロ、アマチュアを問わず選手の華麗な動きやひたむきさを観戦し感動するのも良し。自分の贔屓(ひいき)のチームを仲間と一緒に応援し連帯感を強めるのも良し。

 

 最近日本の地方都市でJリーグ所属のチームが続々と誕生しています。新潟県のアルビレックス新潟、山梨県のヴァンフォーレ甲府、群馬県のザスパ草津など、それぞれの地元の住民に支えられその地域に根ざしたチームとして期待を一身に担いながら頑張っています。それらの地域ではわが町意識が高まり、地域活性化の一助にもなっていると聞きます。少子高齢化の進展を受け、地方都市ではただでさえ少ない若者の大都市への流出が大きな問題となっています。若者の郷土愛を高めるため一役買ってくれるであろうJリーグチームの誕生は地方都市活性化の起爆剤になると思います。また地元の人たちが心を一つにしてわが町の代表を応援することにより連帯感が高まり、まちづくりや人づくりでも皆で協力しようという気風が高まります。さらに、子供たちの夢を実現し健全育成にも貢献すると思います。

 

  先日FC岐阜のファン感謝デーが開催されました。2001年に設立されたFC岐阜は現在東海社会人サッカーリーグ二部に所属していますが、昨年、元グランパスエイトに所属していた森山泰行選手が加入し、同氏の強い思いもありJリーグ入りもいよいよ現実味を帯びてきました。まずは東海社会人リーグ一部への昇格など、ハードルは決して低くはありません。しかし、市民の皆さんの情熱をもってすれば、岐阜にJリーグチーム誕生も決して夢ではありません。

 

(50) “みず”四方山話(よもやまばなし)

 “地球は青かった”1961年に人類史上初めて宇宙船から地球を見たガガーリン宇宙飛行士の言葉です。地球の3分の2を覆う水が地球を青く見せているのです。しかし地球上の水のうち人間が直接利用できる雨水や河川水などの淡水の量は0.3%程度とごくわずか。日本では工業生産、農業生産、生活用水などとして毎年約900億トンの淡水が使われています。しかしこの量は日本で利用可能な淡水の20%にすぎません。貴重な水資源をもっと有効に活用することを考えていかなければなりません。

 

 ところでバーチャル・ウオーター(仮想水)という言葉を聞いたことがありますか?例えば日本が輸入する農産物や畜産物、さらには工業製品などが輸出国で生産されるときに使われる水のことです。1kgの穀物を生産するのに約2立方メートル、チーズで5立方メートル、牛肉で16立方メートルなどと計算されます。日本はこの仮想水の輸入量が世界一で、アメリカなどの3〜4倍になります。食糧の自給率が40%と低いことも大きな原因でしょう。

 

 人間の身体の約60〜70%は水でできているといわれます。新生児で約80%、成人で70%、高齢者で50%程度という研究もあるようです。皺(しわ)ができるのも水分量が減ってくるせいでしょうか?人間の血液の82%、脳の75%は水だそうで、人間の存在そのものが水と言っても過言ではないでしょう。一日に約2Lの水を飲み、ほぼ同量の水を排泄するのだそうで、その過程で身体の中の不純物を外に出していくのでしょうか?

 

 中国の古典『老子』の中に“上善(じょうぜん)水の如し(ごとし)”という言葉があります。簡単に言えば水は争うことをせず、高いところから低いところに自然に流れ、与えられた器に合わせてどのようにも姿を変える。つまり水のごとく自然体でいれば世の中に争い事は無くなるという意味です。『水は答えを知っている』(江本勝著)という本によればやさしく声をかければ水は美しい結晶を結ぶが、汚くののしれば結晶は乱れるとありました。まるで水に心があるようです。

 

 農業や工業、鵜飼観光など水資源により生かされている当市もこのかけがえのない水を汚さず、浪費せず、大切に使っていきたいものです。8月4日長良川国際会議場で女優の高木美保さんなどをお迎えし、「水環境フォーラム」が開催されます。岐阜市から水の大切さを発信していきたいと考えています。

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