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【北朝鮮問題】

核施設復旧着手を表明 米要求に反発「第2のイラクに」

2008年9月20日

 【ソウル=福田要】北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議「経済・エネルギー支援」作業部会の南北実務協議が19日、板門店で行われ、北朝鮮外務省の玄鶴峰(ヒョンハクボン)・米州局副局長は冒頭、寧辺(ニョンビョン)の核施設について「原状に復旧している」と復旧作業の着手を初めて公式に認めた。核計画の申告の検証についても米国の要求に反発し「(査察問題から戦争につながった)イラクを見ろ。朝鮮半島が第2のイラクになるかもしれない」と述べた。

 玄副局長は、米国の要求について「任意の場所を不意に訪問し、試料を採取しようとする」として「合意にない一方的要求で、強制査察と同じ」と反発。

 イラク戦争を例に挙げ、「大量殺戮(さつりく)兵器がないにもかかわらず『国際的な基準』という看板を掲げて強制査察をし、結局は戦争が起きた。問題の本質はここにある」と非難した。

 また、朝鮮中央通信によると、外務省報道官も「『国際的基準に沿う検証に合意してこそテロ支援国家指定解除ができる』との主張は、今までの合意をすべて歪曲(わいきょく)する詭弁(きべん)だ」と批判。

 寧辺の復旧作業着手を、米国によるテロ支援国家指定解除先送りに対応した措置だとして、「指定解除を望まず、期待もせず、われわれなりに進んでいけばいい」と述べた。

◆米、方針譲らず

 【ワシントン=岩田仲弘】北朝鮮が寧辺の核施設の復旧作業着手を認めたのに対し、米政府は、検証方法で合意に達しない限りテロ支援国家指定を解除しない方針を譲らない構えだ。

 米国務省のマコーマック報道官は19日、「北朝鮮が今までの無能力化作業を完全にひるがえしたとは思わないが、その(原状復旧の)方向に進みつつあり、踏みとどまらせないといけない」と北朝鮮の姿勢を批判。

 同時に「北朝鮮が(検証合意で)国際社会から恩恵を得るか、孤立したままでいるのか、選ぶのは彼らだ」と述べ、検証方法について北朝鮮が各国から合意を得る努力を引き続き行うよう促した。

 米政府は日本、韓国、中国と協力し、6カ国協議の枠組みで、北朝鮮に粘り強く協議を働きかける方針だ。

 

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