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〈懺悔告白1〉田代まさし

婦人公論9月 2日(火) 17時54分配信 / エンターテインメント - エンタメ総合
華やかなテレビの舞台から“転落”したのは、2000年10月、盗撮事件が発覚したのがきっかけだった。約1年の謹慎を経て芸能界に復帰したが、01年12月、今度は覚せい剤取締法違反で逮捕。懲役2年、執行猶予3年の判決を受け、以後はVシネマの監督で生計を立てていた。しかし執行猶予期限が半年後に迫った04年9月、再び覚せい剤使用で逮捕。再犯のため、実刑判決を受けることとなる。懲役3年6か月の刑を終え、出所してから約1か月。今は妹の家に身を寄せているという。取材中、コーヒーカップを持つ手の震えを気にしながら、「まだ体が普通の生活に慣れていないもので……」と、サングラスの奥の目を伏せた。

 長く刑務所に入っていると、肉体・精神ともに、元の状態に戻るまで相当時間がかかるらしいんです。特に僕の場合、21時消灯という刑務所の生活になじめず、睡眠導入剤なしでは眠れなくなってしまって。3年半、毎日服用していたせいか、出所して急に飲むのをやめたら、手が震えたり、ろれつが回らなくなったりという後遺症が出てしまいました。先日の会見でも、覚せい剤の影響じゃないのかと誤解されてしまったようですが、あれは久々に人前に出る緊張と、睡眠薬の後遺症が大きかったんです。
 入所した当初は、就寝と起床のリズムや“臭い飯”、2畳の広さの独居房、また、番号で自分を呼ばれることなど、刑務所の生活に慣れることで精一杯でした。それに少し慣れてくると、考えるのは、「一日も早くここを出たい」ということばかりで……。地獄のようにつらい受刑生活のなかで心の支えになっていたのは、息子や2人の妹がくれる手紙でした。妹たちは、自分の生活だけでも大変なのに、「待ってるから早く帰っておいでよ」と書いてくれて。励みになりましたね。
 刑務所の中では、家族が幸せだった頃の夢をよく見ました。毎年家族でいろんな場所に旅行に行きましたけど、ラスベガスに行った時のこととか、家族とよく行った店でワイワイと食事している場面とか。目が覚めてから、あんなに良い時間もあったのに……と、空しくなりました。
 父親として、家族には本当に申し訳ないとしか言いようがありません。実は、昨年10月、刑務所にいる時に妻と離婚しました。代理人の弁護士が来て、「娘が大学受験をするにあたって、離婚したい」と言うので、「はい、わかりました」と。自分が悪いんですからしょうがないですよ。ただ、僕自身は、ずっと一緒にやっていきたいという希望を抱いていたので……。最後の最後、離婚届に判子を押した瞬間に初めて、ああ、これで終わりなんだと、ようやく諦めがつきました。

〈懺悔告白2〉へ続く
構成:村上雅子

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『婦人公論』2008年9月7日号目次
  • 最終更新:9月12日(金) 18時 4分
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