雑誌記事〈懺悔告白1〉田代まさし婦人公論9月 2日(火) 17時54分配信 / エンターテインメント - エンタメ総合長く刑務所に入っていると、肉体・精神ともに、元の状態に戻るまで相当時間がかかるらしいんです。特に僕の場合、21時消灯という刑務所の生活になじめず、睡眠導入剤なしでは眠れなくなってしまって。3年半、毎日服用していたせいか、出所して急に飲むのをやめたら、手が震えたり、ろれつが回らなくなったりという後遺症が出てしまいました。先日の会見でも、覚せい剤の影響じゃないのかと誤解されてしまったようですが、あれは久々に人前に出る緊張と、睡眠薬の後遺症が大きかったんです。 入所した当初は、就寝と起床のリズムや“臭い飯”、2畳の広さの独居房、また、番号で自分を呼ばれることなど、刑務所の生活に慣れることで精一杯でした。それに少し慣れてくると、考えるのは、「一日も早くここを出たい」ということばかりで……。地獄のようにつらい受刑生活のなかで心の支えになっていたのは、息子や2人の妹がくれる手紙でした。妹たちは、自分の生活だけでも大変なのに、「待ってるから早く帰っておいでよ」と書いてくれて。励みになりましたね。 刑務所の中では、家族が幸せだった頃の夢をよく見ました。毎年家族でいろんな場所に旅行に行きましたけど、ラスベガスに行った時のこととか、家族とよく行った店でワイワイと食事している場面とか。目が覚めてから、あんなに良い時間もあったのに……と、空しくなりました。 父親として、家族には本当に申し訳ないとしか言いようがありません。実は、昨年10月、刑務所にいる時に妻と離婚しました。代理人の弁護士が来て、「娘が大学受験をするにあたって、離婚したい」と言うので、「はい、わかりました」と。自分が悪いんですからしょうがないですよ。ただ、僕自身は、ずっと一緒にやっていきたいという希望を抱いていたので……。最後の最後、離婚届に判子を押した瞬間に初めて、ああ、これで終わりなんだと、ようやく諦めがつきました。 〈懺悔告白2〉へ続く 構成:村上雅子 【関連情報】 ・ 『婦人公論』2008年9月7日号目次
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