昨年11月から休止が続く混合病棟の一般病床。他病棟のベッドやテレビなどの物置状態となっている=県立南部医療センター・子ども医療センター
県立南部医療センター・子ども医療センター(下地武義院長)の混合病棟のうち、5床で運用する精神科身体合併症病棟が常時満床状態となっている。高齢化の影響もあり合併症患者は増えているが、紹介患者を受け入れられない事態も起きており、関係者らは「合併症治療の後退」と危惧(きぐ)。同じく混合病棟の一般病棟14床は、看護師不足で2007年11月から休止しており、精神医療関係者は、この14床も含め混合病棟すべてを合併症病棟として全面再開するよう求めている。
混合病棟は、精神科身体合併症病棟5床とどの疾患も受け入れる一般病棟14床からなり、合併症病棟と一般病棟はドアで区切られている。合併症病棟には精神疾患と身体疾患の両方を抱えた重症患者が入院する。宮川真一精神科部長は「患者は精神科病棟にいるが、主治医は身体科で、精神科が並行して治療にかかわっている。他のモデルとなる合併症専門病棟になるはずだった」と話す。
07年度の病床稼働率は97・7%。このほか別の一般病棟でも合併症患者を受け入れており、精神科が担当する患者は常に20―35人という状況だ。宮川部長は「精神身体合併症患者を一般病棟で受け入れるのは患者自身の安全面から不安。看護師らスタッフの負担もある」と指摘。「現状からみて合併症5床は少なすぎる。最低でも20床は必要」と休止している14床を精神科病棟として再開することを提案する。
南部医療センター同様、多くの合併症患者を受け入れている那覇市立病院では、精神科病棟がないため患者は一般病棟に入院し、精神科医師が院内往診している。屋宜盛秀精神科部長によると、5、6年前は年間100人程度だった同院の合併症入院患者は05年に251人、06年は一気に111人増加し、360人に。07年も350人が入院した。
屋宜部長は「入院患者で精神科治療歴のある患者は35%。残り65%は通院も入院もない人。増加の原因の1つは高齢化」と強調する。最近は身体疾患で入院した高齢者が精神疾患を引き起こし、身体疾患の治療が難しくなるケースや認知症で身体疾患を発症した患者が増えているという。
屋宜部長は「合併症病棟がなくて一番困っているのは(精神科のない)一般病院だろう」と指摘し、「特に夜間の看護体制では、病棟に1人でも合併症患者がいれば、大変だ。看護師で対応できず最悪の場合、患者が身体拘束されることも予想される」と懸念する。
県立南部医療センター・子ども医療センターでは9月1日現在、看護師が48人不足している。知念清県病院事業局長は「精神科の必要性は理解しているが、現時点では看護師不足を解消しないと、精神科病棟とするかの議論に入れない」とする。下地院長は「新たに出てきた要望なので、院内で話し合いを持ち検討したい」と話している。(玉城江梨子)
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