約1カ月半にわたって北京で開催された一連の五輪行事が、17日のパラリンピックの閉会で終了した。
今後の中国経済の行方をめぐっては大きく二つの見方がある。
パラリンピック開催中に北京で会った人々に聞いた。中国政府に近い関係者は当然、高い成長の持続に自信を示す。逆に産業界には、環境コストの増加などから成長の鈍化を懸念する声もある。
年2ケタの経済成長を続け、世界第3位の経済大国となった中国の動向は、日本企業にとっても影響が大きい。
その中国で今、新しい市場が動き始めている。
これまで経済発展をリードしてきたのは、中国で1級、2級市場と言われる大都市圏。その人口はざっと3億人程度だ。裏返せば、まだ10億人もの人々が暮らす3級、4級市場がその背後に控えている。
購買力の低さから、これまでは市場としてはほとんど注目されていなかったが、最近は新たなマーケットとして注目を集めている。
これらの地域では、冷蔵庫や洗濯機といった大型家電製品の普及が始まったばかりだ。中国最大の家電メーカー、ハイアールのこの地域の売り上げは、年率30〜50%の高い伸びとなっているという。
新市場での主導権をねらい、各社は販売網の拡充や商品の開発を進めている。だが、流通の仕組みや商習慣が大都市圏とは異なる部分も多く、これまでのノウハウがそのまま通用するわけではなさそうである。
それでも、成長が一段落した大都市圏にかわり、各社がしのぎを削ることになる。第二の中国市場をめぐる競争が幕を開けたといえる。中国の次の有望市場も中国ということであろうか。(H)