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ブロガー・プロフィール

大迫正治
大迫正治
株式会社ループス・コミュニケーションズ企画部長。Webサービスの企画・マーケティング・アライアンス・R&Dなどに従事している。趣味は旅と読書。

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2008/02/05

ウェブの動向をつかむためには海外ブログの購読をオススメする

Web2.0
 

 私は海外のブログをよく読んでいるが、その中でも愛用のGoogle Readerに登録して読んでいるものをいくつか紹介してみようと思う。

Logotechcrunch TechCrunchは言わずと知れたキングだ。このブログほど、ニュースを凌駕し、ウェブの発展に寄与しているブログはないだろう。何百何千ものWeb2.0サービスと新興ベンチャーの動向を描き出し、巨人に挑む小人の構図に希望を与えてきた。創業者のMichael Arringtonは好き嫌いがはっきりした、アグレッシブで反骨精神のあるブロガーだ。TechCrunchは日本語版もある。

Logorwweb Read/WriteWebは「読み書きできるウェブ」、つまり「ユーザーが 参加するウェブ」=「Web2.0」のことだ。TechCrunchと双璧をなすテクノロジー・ビジネス系ブログで、ニュージーランドのRichard MacManusが創業者である。特に、毎週のウェブのトレンドや新しいサービスの動向、話題の中心となったニュースなどをまとめた「Weekly Wrapup(一週間ナナメ読み)」というシリーズがおもしろい。英語漬けがどうにも慣れない読者でも、これを単独で読むだけなら楽だろう。TechCrunchやRead/WriteWebと同種のブログとしては、VentureBeatGigaOMWebwareなどがある。

Logochinawe20review  China Web2.0 Reviewは文字通り、中国におけるウェブの最新の動向を伝えるブログ。Tangos Chanが運営しており、日本以上の規制の中にもかかわらず、日本よりもはるかに挑戦的で恐いもの知らずな中国のベンチャーを描いている。先日本格的に日本進出を始めたBaiduに関する情報も多い。一緒にブログネットワークを形成しているChina Economic ReviewBV Capital China Blogもあわせて読みたいところだ。

Logoventuredeal  VentureDealは、欧米のベンチャー企業の資金調達情報を専門に配信している。配信されるのは、どんな事業を行っているなんとかという企業が、シリーズBラウンドでウン百万ドル調達した、という程度のかなりシンプルなニュース。特に考察とかはないので、自分でトレンドを考察するネタにする。また、月額$25払えば、膨大なベンチャー企業とベンチャーキャピタル、ファイナンスに関するデータベースを利用することもできる。が、その類の目的については、私はもっぱら無料で閲覧できるCrunchBaseで満足している。

 以上の4つは複数の人によって書かれたものだが、もう少し個人の名前が前面に出たブログでは、次のようなものを読んでいる。

Logopmarca  Marc Andreessenのブログは、かなり本格的な論壇系ブログだ。いささか啓蒙的なところもあるが、それもNetscape Navigatorの開発者としての自負だろう。facebookの創業者のMark Zuckerbergが齢23にして圧倒的な存在感を誇っているが、同じMark(c)でもMarc Andreessenこそ、23歳でNetscape Communicationsを株式公開させたその人である。最近は簡単にカスタマイズされたSNSを作れるNingというサービスを運営しており、Googleの発表したOpenSocialについての記事も注目に値するものが多い。情報も早い。

 Dion HinchcliffeがZDNetに連載しているブログは、Enterprise 2.0(企業内でWeb2.0的なサービスを活用するトレンド)に詳しい。ふんだんに挿入されるやたらと綺麗なグラフィックは誰が制作しているのか知らないが、とても理解に役立つ。ただ、一つ一つの記事がパワフルすぎるのか何なのか、記事の更新頻度は低い。彼は別の個人ブログも持っている。

 Steve Rubelが書いているMicro Persuasionは、「テクノロジーがマーケティングコミュニケーションに及ぼす影響」をテーマとしたブログだ。PRや顧客への啓蒙活動から、アバター、ゲーム、マニアックなサービスまで幅広く参考になる。ただ、彼がしょっちゅう投稿しているリンク集はどうでもいい(自分の備忘録としてやっているのか?)。

 Dick Costoloが書いているAsk the Wizardは、feedburnerの起業家としての経験に基づいて、ビジネス論、戦略論、アントレプレナーシップ、ベンチャーファイナンスなどを語りまくるブログだ。語りまくり過ぎて文字だらけ、改行なんかクソ喰らえ、といった様子でひたすら語っている。が、その尖りようが面白い。ただし一回書くと1ヶ月のブランクが空くということもざらだ。John Battelleのインタビューによると、「俺は一年や二年先のことを考えて動いたりしない。これおもろい、これやめよう、これやろう、ってな具合にいつもその場で判断するだけだ。今やりたい事やるだけ。将来?それはミステリーだ。」という具合。そういう人物のようだ。ちなみにJohn Battelleのブログも面白い。

 話は変わって、私はこのブログでいろいろなWebサービスを紹介したり、ウェブのトレンドに関する印象を綴ったり、ウェブが社会へ与えるインパクトを考察したりしているが、その中で頻繁に海外のウェブの状況に言及している。それは別に私の学生時代の専攻が国際関係論だったからとか、私が盲目的な海外シンパだからとかではなく、ウェブの本質が越境的なものだからだ。

 日本のウェブをめぐる企業活動、労働市場、商品(広告)市場、資本市場、言語、教育、社会的インパクトはほぼ全て、日本列島という人為的な国境と、日本語という言語によってその他の世界から隔絶されている。ウェブが生まれつき「自由」そのものであることや、日本以外の世界のウェブに最早国境などないことを考えると、この国の規制社会のしぶとさには驚嘆すべきものがある。

 このままでは日本のウェブは「終わる」し、あらゆる知識労働の基盤となりつつあるITにおいて、日本はことごとくリーダーシップを失うだろう。製造業における覇権争いだけでなく、情報をめぐるグローバルな知的競争から脱落した日本には、産業として誇れるものすらなくなる危険性さえある。そういった状況の中、日本のソフトウェアとインターネット産業の競争力がズルズルと凋落していくのをただ観察しているほど私は母国に対して無関心なわけでもなく、読者と自分のためになればと思って海外の動向について書いているわけだ。いや本当に。

Masaharu

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コメント

2008/02/05 09:08

こんにちは。
>日本のウェブをめぐる企業活動、労働市場、商品(広告)市場、資本市場、言語、教育、社会的インパクトはほぼ全て、日本列島という人為的な国境と、日本語という言語によってその他の世界から隔絶されている。

おっしゃる通りです。ただこの点のネガティブな側面だけに着目する必要はないと考えています。これをグローバリゼーションにおける日本の「個性」であると捉えなおして、戦術的に日本の特異性をプロデュースしていく道もあるかなぁと思ったりします。

2008/02/05 14:04

>今泉さん

コメントありがとうございます。
そうですね。日本にナイスな特異性があれば、活かすべきだと私も感じます。が、活かせる「特異性」とはいったい何のことだろうかと考えると、インパクトのある具体例が思い浮かばないこともよくあります。ウェブに関連して考えると、市場の閉鎖性や、英語アレルギーなどが、ポジティブな側面を持っているとはあまり思えませんでした。

ただ、あらゆる市場の規制を取り払っても、結局物理的に離れた島国なので、文化面でのアイデンティティを保つことは難しくないと思います。

2008/02/05 22:42

こんにちは。初めてコメント投稿します。

自分は20個くらいブログを購読していますが、全て日本のものです。英語になるとWebの世界は、日本語の10倍くらいになると聞いたことがあります。

確かに海外のブログは読むべきですよね。Googleのような企業が出てくる背景が、そこにはあるんでしょう。

今回紹介されていたブログ読んでみようと思います。

2008/02/05 23:03

>Kotaさん

コメントありがとうございます。
英語圏のブログは読み応えがあるものが多いと思います。おっしゃるとおりブログの絶対数も多いので、どこまでも探求できますね。
面白いブログなどありましたら教えてください。

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