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――それは、掲載誌の方針で?
新條:もうちょっと感情の流れを描きたいなあと思ってネームをきると、テンポが悪い、もたついていると言われ、すぐにエッチさせればいいじゃんって話になっちゃうんですよね。もちろん、させてもいんですよ。させること自体に嫌悪感があるわけではないんですから。ただ、そこに至るまでの過程をきちんと描きたいんですよ。だって人間てエッチするものだし、中学生高校生だからしないってわけじゃない。描くこと自体は全然いいと思うんです。
――当時は、読者もそういう描写を求めていた部分がありますね。
新條:周りも結構テンポ上げて展開しているので、ちょっともたつくとすぐにアンケートが落ちてしまうんです。私はアンケートが少しくらい落ちても、読者に見せたい大事なシーンのある回で一位を取れればいいやって思うんですけど、常にトップクラスでいないとダメって感じで。そうなってくると、結局順位を上げるために、肝心なシーンを省いたりして、必要なエピソードがどんどん削られちゃうんです。ただ、エッチなシーンがあればいいというのではなく、読者に納得してもらえる説得力がほしい、それができないんだったらもう描きたくないって思ったんです。
――現在、連載中の『愛俺!』(Asuka/角川書店)は、元は少女コミックで連載されていたものですが、この時は?
新條:これは初めて描きたい物を描こうとして始めた作品でした。自分の大好きなショタで、カッコイイ女の子が主人公で。でもやっぱり、編集部には受け入れてもらえなくて。それでもうここでは描けないなって。もちろん10年間すべて強制されてきたというわけではないし、描きたい物を描こうとしても難しいのがプロの世界だということも分かってはいましたが、この作品は本当に描きたかったんです。
――今回の『アップル!』も、とても楽しんで描かれたとか。
新條:初めてのジャンプ系で、もう夢みたいでした! 以前は、やっぱり描きたい物を描けてないというジレンマもあって、作画中、胃が痛くなっちゃうわけですよ。あ〜こんなふうに描きたいんじゃないんだけどなって。時間がないからアップの構図で省略してしまったり、きちんとした情景描写ができなかったり…。
でも、今はちゃんと時間が取れてるので。
――最後に、これからの展望などをお願いします。
新條:ブログで色々語っていますが、言わなきゃ、という部分だけをかいつまんで書いているので、語りつくせない感情とか、もちろん言えないことも沢山あります。行間を読まれて誤解されてる部分もまだかなりあるんじゃないでしょうか。そういう人達全員に会って話すわけにはいかないから、そのためにも、まずは今連載している『愛俺!』を頑張りたいです。人気がないから終わったんだと思っている人に対して、ちゃんと面白いって思ってもらいたい。分かってもらえるように、ちゃんとした物を描かなきゃって思います。酸素カプセルで寝ながら頑張ります!
――どうぞご自愛下さい…。お忙しいところありがとうございました!
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