「注目 3LDKプライスダウン770万円」。最近、首都圏で新築分譲マンションを数百万円単位で値下げするというチラシが時々舞い込む。
東京都内の中堅業者も8月、さいたま市で売れ残った物件(77平方メートル)を4000万円台後半から約400万円値下げした。業界関係者は「家具をつけたり、入居者モニターになってもらいモニター代を払うなど実質値下げも多い」と話す。
不動産経済研究所のまとめでは、首都圏で発売された新築マンションの平均価格は90年の6123万円をピークに下落したが、02年の4003万円で底を打ち反転。地価上昇などで07年は4644万円、今年8月は4799万円(平均面積71平方メートル)に上がった。
不動産調査会社の東京カンテイによると、首都圏の新築マンションの平均価格は04年で平均年収の6.36倍だったが07年は7.77倍に急上昇。近畿圏も07年は6.71倍だ。買いやすさの目安の「年収の5倍以内」を大きく超え、高すぎる価格が敬遠されて07年後半からは売れ行きが急激に落ちている。
しかし、マンション業者は高値で取得した用地を抱えているうえ、建築費の高騰で値下げにも限界がある。18日発表の基準地価(7月1日時点)では大都市圏でも住宅地の下落傾向が見えてきたが、用地仕入れから発売まで半年以上かかるマンションの価格に反映されるようになるには時間がかかりそうだ。
一方、新築一戸建て分譲住宅は建築資材に占める鋼材の使用量が相対的に少なく、値下げ余地があるためマンションより値下がりが先行。不動産情報サービスのアットホームの調査では、08年上半期の首都圏の平均成約価格は3663万円(平均建物面積96平方メートル)で、07年下期より1.3%下落した。戸建ての場合、郊外で駅から遠い物件が多いことから、マンションに比べ面積が広い割に価格が安いようだ。【位川一郎】
毎日新聞 2008年9月19日 22時00分(最終更新 9月20日 2時18分)