奈良放送局

2008年9月19日 21時17分更新

山間部の診療所で医師不足


深刻な医師不足の影響で廃院したり、診療科を減らしたりする病院が相次ぐ中、奈良県では、来年4月に、山間部などの公立の診療所で働く医師が足りなくなる可能性があることが県の調査でわかりました。

奈良県では、十津川村をはじめ山間部などにある公立の診療所で働く医師のおよそ6割が、医療に貢献する医師を育てるために、全国の都道府県が共同で設立した自治医科大学の卒業生です。

自治医科大学では、卒業後9年間、山間部などで医療に貢献すれば、学費を免除するとして卒業生を全国に派遣しており、奈良県にも毎年8人が派遣されています。

しかし、奈良県が来年度新たな医師を希望する診療所の数を調べたところ、派遣できる数を上回る10か所にのぼることがわかりました。

高齢になって退職するなど診療所を離れる医師が増えたためで、奈良県によりますと、派遣を希望する診療所が派遣される医師数を上回るのは昭和55年に自治医大からの派遣が始まって以来、初めてだということです。

奈良県地域医療連携課の武末文男課長は、「これまで通り自治医大の卒業生に頼るだけでは難しいという現状をまず市町村に認識してもらった上で、対応策を考えたい」と話しています。