米国は「米アフリカ軍」を創設、日本はアフリカ援助を2倍増──アフリカを舞台に新帝国主義戦争が始まった
円借款で肥え太った中国が「ひもつき援助」でアフリカの資源と市場を支配する
2008年7月14日(月)0時0分配信 SAPIO
掲載: SAPIO 2008年7月9日号
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「支援」の次には中国企業がやってくる
もちろん、中国はこんなアマちゃんではない。たとえばアンゴラ「援助」である。
アンゴラはアフリカ有数の石油産出国で、現在ではサウジアラビアを抜いて中国最大の石油輸入相手国になっている。30%がアンゴラ1国で占められている(それ以外ではナイジェリア、スーダン、ケニアが主な輸入相手国だ)。
同国で2002年に内戦が終わってから中国の進出に拍車がかかっている。道路、鉄道など交通インフラを中心にして中国の支援が本格化しているが、同時に中国から20億ドルの借款が供与されている。問題はこうした「支援」とセットで、アンゴラの3つの石油資源区域の株式を中国最大の石油採掘・精製メジャーである中国石油化工(中国石化)が手に入れていることだ。申し訳程度に06年に温家宝首相の訪問時に病院建設が約束されている。
ナイジェリアも似たようなものだ。ここには40億ドル以上の援助と投資が約束されているが、中身を見れば、中国石油天然気集団(ペトロチャイナ)という、中国最大の原油や天然ガス資源会社が、国際入札予定鉱区のうち4鉱区の優先権を手に入れており、同時にナイジェリアのガドウナ製油所を買収し、経営権を握っている。
ケニアはどうか。ここでも中国メジャーの進出とセットで援助が行なわれている。すなわち首都ナイロビの整備やスタジアム改修などに「援助」が実行されている裏で、中国第三の資源会社である中国海洋石油(CNOOC)が6か所もの油田の開発権を手に入れた。これなどある国際援助団体の関係者によれば「ケニア政府高官の家族にまで高級自動車や宝石を贈ったお陰」なのだという。
南アフリカの場合は石油ではなく希少金属のクロムが目的だ。中国は国内にクロムが乏しく、海外からの輸入に頼るしかない。このクロムの実に74%が南アフリカに眠っているのである。現地で開発に意欲を燃やす中国企業・酒泉鉄鋼の関係者は、中国のニュースサイト「国際在線」で、現地の奨学生カンパや道路建設、水力発電所などの補修援助を行なっていると発表、「これにより間接的に現地労働者を3000人雇用している」と胸をはる。
しかし、いうまでもないが、これもクロム獲得とバーターの「援助」なのだ。
ダルフール虐殺で国際社会の批判を浴びているスーダンも、パターンは同じである。ここでは低利な借款と無償援助で、中国製武器が「援助」された。
コンゴには3000万元の無償援助が実行され、農業展示センター、小学校、専門技術者の派遣が行なわれている。
ガーナでも病院、道路、国立劇場が「援助」で建設され、中国も自画自賛しているが、この道路はガーナの輸出港につながるもので、中国貿易にも大きく貢献するのだ。支援といっているが、実際は中国のガーナ投資のための建設なのである。
しかも、現地の中国企業で働くアフリカ人労働者の待遇の悪さは、各地で問題になっており、タンザニアでは炭鉱労働者が大規模な暴動を起こした。
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