「類似ラブホ」愛知県内に155軒
自治体には一般のホテルとして申請しておきながら実態はラブホテルを営業している「類似ラブホテル」の問題が全国で取りざたされている。ラブホテル建設は規制が厳しくなったといわれる一方で、類似ラブホテルは摘発されずに野放しとなっているのが実情。『風俗大国』愛知県のラブホテル事情を探った。(健)
■『公認』は130件
警察庁などの調べでは、全国の類似ラブホテルは約3600。愛知県内では155の類似ラブホテルが確認されているという。
今年3月末現在、県内には旅館業法に基づくホテル営業(個室が10室以上)許可施設が300。旅館営業(個室が5室以上)許可を取った施設は1294あるという。両者の間に『旅館』や『ホテル』といった言葉から受けるイメージの違いはなく、5室以上部屋を設ければ法律上、ホテル営業は可能。
■『公認』は130件
県内約1600のホテルのうち、約1割が類似ラブホテル。旅館業法と風営法の許可を得ている『公認』ラブホテルは約130あるという。
そもそも行政管轄の旅館業法にはラブホテルという定義はない。警察管轄の風営法では店舗型風俗店と分類され「異性を同伴する客の宿泊または休憩用の施設を設けて営業しているもの」と定義されている。
類似ラブホテルが存在する理由は1985年2月に改正風営法が施行されたため。同年以前に建てられたラブホテルは既得権が与えられているが、改正同法施行後に新設されたラブホテルには風営法上の許可が得られない(商業地域を除く)。そのため風営法の申請をせずに旅館業法の申請だけで営業しているラブホテルも少なくない。
■設計で見抜けず
ある県警幹部は「風営法上は食堂やロビーが一定面積(30―50平方メートル)に達しないとラブホテル。ホテルの管理者が案内してくれる食堂は広いけれど実際には物置として使用されているのがほとんどだ」と話し、ラブホテル営業が法律の網をくぐり抜けている実態を指摘する。
ホテルを指導、監督する県の担当職員は「(旅館業法上は)構造や設備の点で問題がなければ注意のしようがない」と話す。
■住宅地にネオン
一方、新しいラブホテルが建設されているのも事実。
「ファッションホテル」「プライベートホテル」などの看板で一般の住宅地に「休憩―円、宿泊―円」のネオンサインのラブホテルがある姿は異様。
2005年に愛知県東郷町に建設中の派手な外観のラブホテルをめぐって町とホテル側が争った訴訟で昨年3月、最高裁が「旅館業法、風営法上は問題がない以上、町の条例に基づいて町長が建設工事中止命令を出すのは違法」と訴えるホテル側の主張を退けて町側勝訴で決着。ただ提訴段階で問題のホテルは建設が終わっており、現在も営業を続けている。男性町民は「旅館業法に違反していなければ営業は許可される。条例では建設中止命令はできても営業を停止させるだけの効力はないんだよ」と嘆いた。
■立ち入り検査も?
ある保健所職員は「2年以内に行政・警察合同でホテルへの立ち入り検査をやろうという計画がある」と教えてくれたが…。
【写真説明】マンションや一戸建て住宅が立ち並ぶ中、ラブホのネオンは非常に目立つ=名古屋市内
(2008年9月19日更新)