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【政治】

太田農相が辞任、汚染米転売で引責 白須事務次官は更迭

2008年9月19日 12時20分

記者会見で辞任を表明する太田農相=19日午前、農林水産省で(沢田将人撮影)

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 太田誠一農相は19日午前、汚染された事故米の不正転売問題の混乱の責任を取って、辞任する意向を福田康夫首相に伝えた。衆院解散・総選挙が今秋に行われるとの見通しが強まる中、有権者の関心が高い「食の安全」をめぐる混乱で農相が辞任することは、政府・与党に大きな打撃となる。

 太田氏は19日午前に首相官邸で開かれた閣議の終了後、福田首相と会って「汚染米問題の責任を取って職を辞したい」と、辞表を提出した。

 町村信孝官房長官は同日午前の記者会見で「(汚染米が)幅広く消費者の口に入り、食の不安をかき立てていることを大変反省をしている。いま(問題の解明に)最大限の努力をしている最中で、その一環で農相が辞任することになった」と説明。同日中に太田氏後任を選任する方針を示した。

 福田首相の辞任表明を受けた自民党総裁選は22日に投開票され、24日にも新内閣が発足する予定。太田氏は汚染米問題での混乱に加え、食の安全に関して「消費者がやかましい」と発言して強い批判を浴びた経緯があり、新首相がどう処遇するか注目されていた。

 太田氏の辞表提出に先立ち、農林水産省事務方トップの白須敏朗次官(57)は汚染米問題で引責辞任する意向を太田氏に伝達。政府は19日午前の閣議で、白須氏の辞任と後任に井出道雄林野庁長官(58)を起用する人事を了解した。白須氏の事実上の更迭に当たる。

 米粉加工販売会社の「三笠フーズ」(大阪市)などによるカビ毒や農薬に汚染された事故米が不正転売された問題で、農水省は三笠フーズなどの取扱業者に対し、頻繁に立ち会い調査をしていたのに転売を見逃した。問題発覚後も汚染米の流通先の公表を渋って「消費者軽視だ」と批判を浴びていた。

(中日新聞)

▽解説

 太田誠一農相の辞任は、自民党の衆院解散・総選挙戦略に打撃となるのは間違いない。

 同党は総裁選を通じて、福田康夫首相の突然の辞任で受けたマイナスイメージを挽回(ばんかい)し、新総裁誕生の余勢を維持したまま衆院解散・総選挙に臨む戦略を描いていた。

 同党の狙い通り、今月10日の総裁選告示当初は、立候補した麻生太郎幹事長ら5氏による論戦を通して、党の活性化を打ち出すことに成功しかけていた。

 しかし、事故米の不正転売問題に加え、米証券大手の破たんや厚生年金の標準報酬月額の改ざん問題など、次々と起きる問題への対応に関連して、首相辞任による政治空白への批判が強まっているのも事実だ。

 太田農相の辞任で、早期の衆院解散論が強まっていた与党は一転して、窮地に立たされることになった。麻生氏は22日に新総裁に就任する見込みだが、農相辞任は、解散戦略と密接に絡む新政権の内閣支持率にも影響を与えそうだ。

 (政治部・吉田昌平)

 

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