あの人は今こうしている　帆足新一（「コントゆーとぴあ」のピース）

「人生は厳しいんだ！」のひと声とともに、伸びきったゴムが顔面を直撃する。「コントゆーとぴあ」の体を張った“ゴムパッチン”は見る人にも痛みが走り、思わず顔をしかめたものだ。コンビのふたりのうち、ゴムを手放すホープこと城後光義さんは旅番組のリポーター役でたまに見かけるが、パッチンを食らう損な役回りのピースこと帆足新一さんは痛みに耐えかねたのか、姿を消してしまった。今どうしているんだろう。

●「地方では目が合ったら百発百中、やりまくったよ」

「ムホホホ、絶好のタイミングの取材じゃない。あのさ、来週火曜日の２３日、座長として初めてのライブをやるの。よろしくネッ！」

　ＪＲ東中野駅に近い居酒屋で会ったピースさん、こういって記者にチラシを手渡した。それによると、「ワイルド・ピース・カンパニー」旗揚げ公演で、タイトルは「情けは人の為にあらず？」とある。舞台は西新宿の劇場バイタス。

「これに芸人人生をかけてるし、成功したら死んでもかまわない、とは大げさだけどね。構想８年、涙と笑いにあふれた奇想天外なストーリーにはちょっと自信があるのよ」

　さて、ピースさんが“ゴムパッチン”でブレークしたのは７９年だった。

「給料袋って１００万円以上入ってないと立たないんだけど、それがマジにピ〜ンと立って、そいつを見ながら女房と手を取り合って泣いたね。もちろん、外じゃモテモテで、とくに地方では目が合ったら百発百中、やりまくった、ハハハ」

　しかし、時代が平成になった８９年頃から下火に。

「そう、８９年にコンビを解消して四谷のクラブの雇われ店長になり、それじゃ飽き足らなくなって、歌舞伎町に自分でクラブを開いた。最初はお札を刷ってるみたいに儲かったよ。毎晩、友達を引き連れてドンチャン騒ぎさ。ところが、バブルがはじけて、アッという間にみんなパー。あの衝撃はゴムパッチンなんてもんじゃなかったな」

　かくして本業に精を出すようになったピースさん、コンビも復活した。

「ただ、土・日は結婚式や企業のイベントの司会、それに単発の営業がほとんどだよ。お呼びがあれば、地方でもどこでも行く。最近は地方の仕事がけっこう楽しみなんだ。女？　違う違う。千葉の勝浦に行ったときはアワビや伊勢エビ、愛媛ではお米１０キロ、淡路島じゃタマネギって具合に、ギャラに現物がプラスされることもあってね。どれも最高級品だろ。ホント、食いモンについちゃ、給料袋が立った時分より上かもしれない」

　最後に、今のテレビ界はチンピラのお笑い芸人に占拠されてしまった感がある。ピースさんはどうみているのか？

「ヤツらはお客さんを笑わせるんじゃなく、笑われてる。そこに早く気づかなくっちゃ、ってテレビに出てないオレがいうのもナンだね。まあ、今度のライブ公演をきっかけに、また給料袋が立つようにガンバるよ」

（日刊ゲンダイ2008年9月16日掲載）