日本産婦人科医会関東ブロックはこのほど、周産期医療の現状と問題点を話し合うシンポジウムを甲府市内のホテルで開催した。関東10都県の代表者が、分娩(ぶんべん)取扱施設の減少や産婦人科医不足など、深刻化する各地の状況を説明したほか、若手医師確保や安全な出産態勢整備に向けた取り組みなどを紹介した。
この日は、同会所属の産婦人科医計90人が集まり、代表者の報告に耳を傾けた。分娩(ぶんべん)取り扱い医療機関の減少は深刻で、ほとんどの地域の問題点として挙げられた。千葉県では、5年間で分娩(ぶんべん)取扱施設が55施設から36施設まで減少したという。茨城県の代表者は「残った施設の負担が増加し、ドミノ倒しになる可能性もある」と指摘した。
医師や助産師の不足を嘆く声も多かったが、既に対策に乗り出している地域もあった。群馬県の代表者は、若手産婦人科医へ補助金を出していることを紹介。また、県内の受け入れ可能施設の検索ができず、緊急事態に母親を県外に搬送することのあった神奈川県では、県内施設の状況を一括して調べる救急システムを導入したことが報告された。
県内でも、東部地域で分娩(ぶんべん)できる施設がなくなるなど、お産を巡る状況は深刻化している。山梨県支部の武者吉英支部長は「山梨も今後、お産難民が生まれる可能性がある。他県と連携し、対策を考えていきたい」と話した。【小林悠太】
毎日新聞 2008年9月19日 地方版