ワールドビジネスサテライト:テレビ東京

みどころ

激震 アメリカ金融危機[08/9/15]

リーマン・ブラザーズに関して、15日未明にアメリカ連邦破産法の適用を申請すると発表したリーマン・ブラザーズですが、本社にはきょうも朝早くから、社員たちが荷物を運び出すための大きなバッグなどを持って集まってきています。

Q.破産したことをどう思うか――?

「……」(リーマン・ブラザーズ社員)

Q.どれくらい心配――?

「とても心配している」(リーマン・ブラザーズ社員)

Q.今、どんな気持ち――?

「恐怖と不透明感」(リーマン・ブラザーズ社員)

ニューヨークでは、経営危機に陥っていたリーマンを救済するため、12日からポールソン財務長官など、政府関係者とシティ・グループやゴールドマン・サックスなど、民間の大手金融機関トップによる協議が断続的に続けられていました。

このなかでは、イギリスの大手銀行バークレーズが中心となってリーマンを買収する案も検討されました。この案に関しては、バークレーズと提携関係にある三井住友FGも1,000億〜2,000億円程度の出資をする方向で一時調整を進めていたことが、テレビ東京の取材で分かっています。しかしこの案も結局、日本時間のけさ早く、決裂したということです。

結局、この政府と民間の金融機関の協議が物別れに終わったことから、リーマン・ブラザーズは15日未明に連邦破産法11条の適用を申請すると発表しました。これは日本の民事再生法にあたるもので、再建を前提とした措置です。またリーマンは証券取引仲介の部門を売却する方針や、引き続き投資運用部門の大部分を売却する方針を明らかにしています。

一方、先週リーマンの買収先として名前の挙がっていた銀行大手のバンク・オブ・アメリカですが、一転して証券大手のメリルリンチをおよそ5兆3,000億円で買収することで合意したと発表しました。これは事実上の救済合併で、バンク・オブ・アメリカはシティ・グループを抜いてアメリカ最大の金融機関となります。


リーマン・ブラザーズの株価は今年に入って急落し、最近の株価は3ドル台にまで落ち込んでいた。救済策の策定は待ったなしの状態だった。

「サンデーポールソン」の異名をとり、マーケットが開く前の週末に金融機関の救済策をまとめてきたポールソン財務長官。この週末は金融機関のトップを交え、リーマンの支援をめぐって、ぎりぎりの交渉を続けていたが…。

リーマンは結局、日本の民事再生法にあたる連邦破産法11条の適用を申請し、市場から退場することになった。リーマンに手を差し伸べる金融機関は現れず、アメリカ政府も公的資金の注入に動かなかった。

Q.破たんについて――?

「怒りと悲しみを感じる」(リーマン・ブラザーズ社員)

「政府はベアー・スターンズを救済したが、リーマンは救おうとしなかった。それがこの結果よ」(リーマン・ブラザーズ社員)

「ベアー・スターンズは証券化商品の値付けに関して相当に詳しい会社。これがなくなると、証券化ビジネスそのものが怪しくなる。リーマンは規模は大きいが、立ち行かなくなるコンテンツがなかった。そこがベアー・スターンズとリーマンの扱いの違い」(吉崎達彦 副所長/双日総研)

一方、リーマンの東京支店にも衝撃が走った…。

「正直、破たんは予想より早かった。今どうなっているか情報欲しい。六本木ヒルズに来ている。会社は切り売りされるだろう。部門別か地域別か分からない」(リーマン東京支店の社員)

アメリカの金融機関では、生き残りをかけた合併や連携の動きがあわただしい。アメリカ証券会社第3位のメリルリンチ。リーマンの受け皿候補の1つだったアメリカ大手銀行のバンク・オブ・アメリカと合併することを急遽決めた。バンク・オブ・アメリカによる事実上の救済合併だ。

「今までの火消しは何とかうまくいっていたが、今回(米政府は)コントロールを離れてしまったと、内心ヒヤッとしている」(吉崎達彦 副所長/双日総研)

Q.今後の再編につながるか――?

「再編はしなきゃいけないないし、大方の予想を超えて早く進む」(吉崎達彦 副所長/双日総研)

リーマンの破たんはヨーロッパの株を直撃。また為替市場ではドル売りが加速し、一時104円台に突入した。

さらにアジア株も軒並み下落。アメリカ発の金融危機は、どこまで拡大するのか…。


「FRBは救済を線引きしなければならないと判断した。リーマンを救済したら多くの金融機関も救済を求める。金融機関は自ら危機に陥ったため、自分たちで何とかするべきだと考えた」(デビッド・ウィス 氏/S&P)

仮にリーマンを救済すれば、危機に陥った他の金融機関も救済しなければならなくなり、それではまさにキリがなくなってしまう、ということになってしまいます。

また今年3月のベア・スターンズの時と比べますと、リーマンの経営陣にとっては経営危機に陥ってから経営を立て直す時間が数ヵ月にわたって、かなりありました。その間に経営陣が十分な対応策を講じられなかったことも問題として指摘されます。

さらに大統領選挙を前に大手金融機関の公的資金による救済は国民の反発を買うとの判断が働いたとも考えられます。

金融再編の巨大なうねりは、今後しばらく続くと見られています。リーマンの影響がどの程度あるのか、すべてが判断できないなか、さらに金融不安が広がる可能性もあります。この金融再編劇がどこまで広がるのか、予断を許せない状況です。

また市場ではあす開かれるFOMCで利下げの可能性もあるとの見方が急速に高まっています。


リーマンの破たんを受け、日本の金融機関にどの程度影響が出るのか、懸念が今、広がっています。

リーマンは日本で、M&Aの仲介や証券化などのビジネスを幅広く展開していました。3年前には掘江被告が率いたライブドアが発行した転換社債を引き受けるなど、日本で存在感を高めていました。

ロイター通信によりますと、あおぞら銀行や、みずほコーポレート銀行など、8つの金融機関があわせて1,750億円の債券を保有していることが明らかとなっています。また大手行はリーマンが関わった金融商品なども保有していまして、どの程度の損失が出るのかに注目が集まっています。

「日本の金融機関に大きな影響が起きるとは確認していない。警戒水準を高めて注視していきたい」(茂木 金融担当大臣)

金融庁はリーマンの日本法人に対し、債権者の利益を守るよう、保有する日本国債など資産の国内での保有を求める行政命令と業務停止命令を出しました。


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