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社会

看護師の新卒離職率、全国最悪 対策急ぐ県看護協会 

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再就職相談などに応じる県ナースセンター。潜在看護師の復職支援に、県看護協会も力を入れる=神戸市中央区下山手通5

 近年、医療機関で医師不足とともに看護師不足が深刻化している。高齢社会で介護施設や在宅治療など病院以外での需要が広がる半面、少子化などで供給が追いつかず、さらには看護師を手厚く配置すれば報酬が加算される国の診療報酬改定で病院間の争奪が激化。家庭や過重労働を理由に辞める人も少なくない。特に兵庫では病院で働く新卒看護職員の離職率が全国最悪となるなどしており、対策が急がれる。

(社会部・今泉欣也)

 厚生労働省によると、看護職員の就業者は毎年増加し、二〇〇六年で約百三十三万人。うち、六割強の約八十三万人が病院に勤務している。

 しかし、供給数は需要に追いつかないのが現状だ。厚労省が〇五年末発表した需給調査では今年は約三万七千人、一〇年は約一万六千人が不足する見通し。日本医師会が全国三千余りの病院を対象に実施したアンケートでも、看護師・准看護師の必要数が今年四月で調査時(〇六年十月)より約七万人増えると試算。「近年の増加ペース(年三万人)では深刻な不足になる可能性が高い」と指摘した。

 不足の要因として挙げられるのが、〇六年の診療報酬改定で始まった「七対一基準」だ。入院患者七人に対し、看護師一人を配置した病院に入院基本料を上乗せする制度で、これにより多くの病院が限られた人材を奪い合う事態に。県内でも予定数を確保できない病院が相次ぎ、三田市民病院(三田市)では昨年四月から病床の一部閉鎖を余儀なくされた。

 こうした現状を受け、兵庫県看護協会は全国に五十五万人ともいわれる結婚を機に退職するなど、働いていない「潜在看護師」の復帰支援など、人材不足解消に向けた取り組みを強化。本年度は、病院に勤務する看護職員の離職防止対策で県と検討委員会を設置した。

 日本看護協会の実態調査によると、県の〇六年度新人看護職員の離職率は都道府県別で最悪の14・1%(全国平均9・2%)。常勤看護職員も14・8%(同12・4%)と高かった。

 県協会の小田美紀子常務理事は「明確な理由は分からない」としながらも「長時間勤務や夜勤による負担、医療事故への不安など過酷な労働環境に疲れ、続けたいけど、あきらめる人も多いのでは」と分析する。

 そこで、県協会は自分に合った職場探しを手助けしようと、多様な勤務条件に応じて再就職先を紹介する「ナースセンター」をはじめ、今年六月には県内百二十三施設の求人情報を集約した就職ガイドを作製。看護技術など現場を離れていたブランクを補うための研修プログラムも充実させた。一方で、病院側にも「働きがいのある職場として選ばれる努力を」と、就業管理などに関して支援する本を配るなどして理解を呼びかける。

 こうした中、最近は病院側にも院内保育所を設置したり、新人が仕事に慣れるまで夜勤の開始時期を遅らせたりと、労働環境を改善する動きが徐々に広がっている。

 神戸市立医療センターは、資格取得のための留学・研修制度を充実させたほか、現場の要望を受けて昨年十月から中央市民病院(神戸市中央区)の複数病棟で試行的に、勤務を「三交代制」から「二交代制」に変更。夜勤の拘束が少ないというメリットが好評といい、西市民病院(同市長田区)でも早ければ来月には導入予定という。

 同協会の神田章代専務理事は「せっかく取った看護師免許を人生のどの段階でも生かせるよう、看護職の地位向上なども含め引き続き対策を進めたい」と話している。

(9/18 09:38)

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