辰野町は17日夜、辰野総合病院の改革プラン素案を住民に示す初の説明会を町役場で開いた。移転新築を経営改善の柱に据え、一、二次救急医療、新たに訪問看護ステーションを併設、人工透析拡充にも力点を置き伊北地区の医療を堅持するとした。婦人科診療継続で伊那中央病院(伊那市)の負担を軽減するなど近隣病院との連携も盛った。
素案によると、2010年の移転新築を想定し、現在より16床少ない114床で、診療科目は現在の8科を維持する。
経営面では「今後、町一般会計とのすり合わせなど精査が必要」(同病院事務長)とした上で、来年以降は医業収益が好転し11年の経常収益は約20億7千万円と試算。常勤医師2人増、2011年には計3人増の計10人と見込んだ。移転新築のため同年の経常損益は約5億3千万円の赤字、この間の町一般会計からの繰り入れは3億5千万から4億円が必要―とした。経営効率化や事業形態の見直しでは、給食や清掃など民間教務委託、各科部門の経費削減努力、11年に回復期のリハビリ病棟新設などを示した。
説明会には住民約50人が出席。住民からは「在宅医療を盛り込んだ積極的な面は評価できるが、 医師確保や収益上昇は実現可能か」「現実は厳しいのではないか」との質問が相次いだ。矢ヶ崎克彦町長は、診療報酬値下げや医師確保の難しさなどを指摘した上で「黒字経営は大変難しいが、下水道の大型事業が終わり、財政的に移転新築は可能な範囲。現在地でも耐震工事は必要で当初より大掛かりな調査も要するため、移転新築の方がいい」と説明した。
同日はプランの説明にとどまったが、住民からは新築する病院の概要、院内改革の具体的取り組みなど総合的な資料の提示と説明を望む声もあった。