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粉ミルク被害、中国で拡大 22社製から検出、3人死亡

2008年9月18日1時26分

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写真中国・安徽省合肥で17日、問題となった粉ミルクを撤去するスーパーの店員=ロイター

 【北京=峯村健司】中国で有害物質メラミンに汚染された乳児用粉ミルクの被害が広がっている。北京五輪スポンサーの伊利(内モンゴル自治区)や蒙牛(同)などの大手を含む計22社の製品から検出され、合計シェアは中国製の5割を超える。17日から一斉に回収が始まり、スーパーの商品棚からほとんどの国内産粉ミルクが消えた。

 北京市中心部の大手スーパーでは17日朝から、数十人の店員が中国産粉ミルクの撤去を始め、高い外国産を買い占める客が目立った。北京市内の王樹芬さん(56)は問題となった施恩(広州市)製のミルクを1歳半の孫に飲ませていた。「中国産なんか信じないわ。命にはかえられない」

 17日に会見した国家品質監督検査検疫総局の李長江総局長によると、死亡した乳幼児は3人となり、患者数が6244人に達した。このうち腎臓結石など急性腎臓障害で重症となった患者が158人いる。問題が発覚した22社のうち、大手の雅士利(広東、山西両省)の製品は、バングラデシュなど5カ国に輸出されていた。

 衛生省によると、事件の発端となった三鹿集団(河北省石家荘市)には「粉ミルクを飲んで腎臓結石を発症した」との苦情が3月にあったが衛生当局に報告しなかった。8月6日にはメラミンの混入事実を確認したが、約1カ月間公表しなかった。その2日後に開会した北京五輪への悪影響を恐れたともみられる。

 中国当局は事態を重くみており、新華社通信によると、16日に解任された三鹿集団の田文華・前会長が17日、河北省警察当局に拘束された。河北省共産党委員会は17日、事件にからんで石家荘市の冀純堂市長の解任を決めた。

 河北省公安庁はこれまでに、三鹿集団に粉ミルクの原材料となる牛乳を出荷していた男4人を逮捕した。調べに対し「メラミンを入れると牛乳の嫌なにおいがとれ、たんぱく質の含有量を増加させると人から教えてもらった」と供述している。いずれも酪農家向けにメラミンを売る業者から購入していたという。

 北京児童医院には事件発生後、連日数百人の患者が訪れ、数時間待ちの状況だ。待合室にいた胡湧起さん(26)は長女(1)に三鹿製の粉ミルクを与え続けた。「国家が保証した優良品だと薦められて買ったのに。いったい何を信じればいいんだ」

     ◇

 〈メラミン〉食器などに使われる樹脂の主原料となる有機化合物。毒性は強くないとされるが、ほかの化学物質と反応すると結晶化し、腎臓障害を起こす可能性がある。たんぱく質測定の基準の一つとなる窒素を多く含んでいる。北米で昨春、ペットフードを食べた犬や猫が大量死した問題でも、原料の中国産小麦グルテンにメラミンが混入していた。

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