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「橋下知事はテレビ中毒」 退任会見で大阪府教育委員2氏が反論
大阪府の橋下徹知事が「教育ビジョンがない」と批判し再任を拒否した府教育委員の井村雅代氏(58)=北京五輪シンクロ中国代表ヘッドコーチ=と、木戸湊(あつむ)氏(69)=元毎日新聞大阪本社代表=が18日、今月末の任期満了を前に退任会見を開いた。井村氏は「ビジョンとは話し合いの中で示していくものだ」と猛反発。木戸氏も「テレビ受けしか考えない『テレビ中毒』。ポピュリズムにおちいり自滅するだろう」と知事の政治姿勢を厳しく批判した。
最後の定例委員会議を終えて会見した両氏。席に着くなり木戸氏は「私は『再任は結構です』と事務局に伝えていた。なのに知事が『ビジョンがないから再任しない』と言い出すとは…。失礼、無礼だ」と切り出した。
また、今年3月、橋下知事から「高校の学区をなくせば東大と京大に300人の合格者を出す学校を作れる」との提案を受けたことを振り返り、「そういう話を真顔で言うことにあきれた。裏づけなしにアドバルーンを上げても絵に描いたもちではないか」。井村氏も「私たちが取り組んだ府立高校再編の結果、公立高校に行きたいという子供は増えている」と主張し、「知事は教育行政がどうあるべきかをまったくご存じない」と語気を強めた。
両氏の批判はメディアの反応を意識した橋下知事の言動に及び、井村氏は「記事や映像になりやすい言葉を発しているだけ。大阪府政が全国の人から茶番劇のように見られるようになった。行政とは派手に行うものではなく、粛々と進めるものだ」。
木戸氏はこうした知事の姿勢を「テレビ中毒」と批判したうえで、「ビジョンとは一言でぱっと示せるものではない。繁華街のネオンサインじゃあるまいし」。さらに、「知事の発言を面白おかしく書き立てるのではなく、核心を突くような報道をしてほしい」とメディアにも注文をつけた。
一方で、木戸氏は「だれかがやらなければならない財政再建に手をつけたことは評価できる」とも指摘。井村氏も「4年間で結果を出そうという姿勢はいい」としたが、「教育は長いスパンで取り組むもの。『新風を吹き込んだ』といった言葉で任期を締めくくってほしくない」と訴えた。
両氏の退任会見を受け、橋下知事は報道陣に対し「批判は受け入れる。長い間ボランティア的な活動をしてもらい感謝している」と述べた。
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