アウトドア・スポーツ

2008/08/05

北京五輪と昼寝的鈍感な日々

この日は、競技系アイロニングの基本であるエアリアルと、その変形バージョンの練習を繰り返す予定になっていた。今日の練習で使うアイロンは、競技練習用に購入した国内メーカーのドライアイロンである。競技練習は大変激しくアイロンを酷使する。場合によってはコードを持って振り回すような動作もあるので、競技に限っては、普段使っているモーフィーリチャーズ・コンフィグリップアイロンなどは使えないのだ。僕らは狂ったようにダッシュを繰り返し、飛び、そして掛けた。すると、あっという間に身体が温まり、徐々にコンディショニングが上がってくるのが判った。しかしこの暑さである。たまらず僕はTシャツを脱ぎ棄て、心も体も完全な戦闘モードに入った。これが競技系アイロニング時において、僕が本気になった合図でもある。


魂が燃えたぎるこの感覚。高い志、そして焦げ付くような情熱に囲まれた、心から楽しいと思える至福の時間。それが競技系アイロニングには確かに存在する。僕が本格的な水上アスリートだった頃、海の上ではほぼ毎日こういう瞬間があった。生きている実感にあふれた日々は、僕のごく当たり前の日常だった。今はその頻度がグンと落ちたが、それでも僕は時間が許せばこのように生きている実感を全身で味わう。英知と哲学を超えた、単純なる肉体酷使の時間。僕には、このような己の限界を感じ取れる時間が必要である。でないと、心と体が一気に衰弱してしまう気がしてならない。今日はしっかりと昼寝をしているので、コンディションは上々だ。練習が始まると、僕の脳裏にワルキューレの騎行が流れ始めた。



この日、僕らは約1時間ほど全身全霊でこの競技練習に取り組んだ。本気で取り組む競技練習を、僕が心から楽しんでいることがこの写真からも十分伺えると思う。写真ではただの馬鹿にしか見えないが、競技系エクストリームアイロニングのハードさと楽しさはとにかく伝わりづらい。T君のサポートのおかげで、今日も納得のいく練習をすることができた。それにしても運動神経抜群のT君。彼がこれからEIJの台風の目になることは疑いの余地がない。

とにかく実行あるのみ。エクストリームアイロニングに取り組むにはそれしかない。ウダウダと能書きばかり垂れているだけでは、新しい試みも何も始まりはしない。とにかく考えたら実行に移す。物事なんて、ある意味やったもん勝ちなのだと僕は思っている。エクストリームアイロニングをネットで見て、その見た目だけで判断を下している人がいるが、結局ネットじゃモノの本質など何にも判りはしない。「立つより返事」という言葉があるが、「返事より立つ」が極めて正しいと僕は思っている。海で波乗りをし、たっぷりと昼寝をきめ、それで最後に激しい瞬発系トレーニングで締める休日。五感をフル活用したこんな休日を、僕は心から愛している。

スポーツや家事の常識にあえて鈍感になることで、僕は競技系エクストリームアイロニングに真摯に取り組み、日進月歩的な進歩を遂げてきた。常に繊細・敏感であれば、馬鹿馬鹿しくて到底エクストリームアイロニングなど続けてはこられなかった筈だ。事実僕はそうだった。99パーセント馬鹿に見えても、残りの1パーセントにすべてを賭ける。競技系アイロニングにおいて、僕はその1パーセントになんとか輝きを見出したいと思って今までやってきたのだ。僕はこのエクストリームアイロニングという行為における日本のパイオニアとして、今もこの1パーセントのために自分の理性を押し殺し、日々のアイロニングにぶつけている。それがいつか2パーセントになり、5パーセントになっていくことを切に願いながら。言いかえると、このような経過・過程こそが「楽しむ」という事に繋がっていくのではないだろうか。

北京五輪。国の威信をかけた本気と本気の勝負を見ながら、僕は今日も昼寝をかます。北京で輝いた者に待っているのはメダルだが、アイロニストの僕に待っているのは究極の自己満足だけだ。でもそれでいい。ある意味、今は結果よりも経過にこだわって活動をしていきたい。それでも僕だって未来に夢は持っている。その夢をわが手でもぎ取る為、僕はどんな経過にも手を抜かず、これからも全力で突っ走ろうと思っている。高山への遠征など、夏後半は僕のアイロニングライフも多忙を極める。そして仕事の合間に北京五輪を観たり、波乗りをしたりして気持の充実を図りたい。時に敏感に、そして時に鈍感に。諸君、夏なんだから汗を恐れずガンガン行きましょう!

北京五輪とパラリンピック。日本人選手の活躍に期待したい。がんばれニッポン!





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