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とくしま医療考

第2部・救命救急【3】新しい命
集中治療室常に満床 ハードな現場新人医師敬遠 2008/9/15 10:39
  
 「パパが来たよ。目を開けて」。徳島大学病院(徳島市)の三階にある総合周産期母子医療センターの新生児集中治療室(NICU)。母胎と同様の環境を保つ保育器の中で眠る長男を、徳島市内の会社員柳田大輔さん(38)、由佳さん(40)夫妻=仮名=がのぞき込む。

 出産予定日より三カ月近く早い誕生。腎臓の難病で、大事を取って徳大病院に入院していた由佳さんの血圧が急上昇したためだ。「このままでは母体に脳出血の危険がある」。急きょ帝王切開手術が決まった。

 体重一〇六〇グラムで生を受けた赤ちゃん。今は人工呼吸器が頼りだが、回復室に移り、二二〇〇グラムにこぎつければ退院できるという。「あきらめることも覚悟したけれど、母子ともに救われて本当に感謝している」。由佳さんは笑顔で話す。

 二十四時間体制で、母体と新生児の搬送を受け付けている総合周産期母子医療センター。県内で低体重や障害のある赤ちゃんを診るNICUの基準を満たしているのは、徳大病院の六床のみ。徳島市民病院も六床あるものの、医師不足で基準が満たせず、診療報酬の加算にはつながっていない。

 異常分娩が増加

 両病院の計十二床は常に満床状態で、NICUを備えた香川県善通寺市の香川小児病院まで搬送されるケースもある。妊婦の高齢化や不妊症治療の増加を背景に、帝王切開を伴う異常分娩(ぶんべん)が増加しているためだ。県立中央病院は二〇一一年度の開院を目指す新病院にNICU六床を新設する予定だが、医師の確保が大きな課題になっている。

 そんな中、新しい命を救おうと現場はハードな勤務を続けている。センターでは二十一人の産婦人科医と四人の小児科医が、月四、五回の夜勤を含む激務をこなす。時には一晩で三人の妊婦が立て続けに搬送され、仮眠も取れない日もある。昨年度、一般病院・診療所から受けたハイリスク妊婦の紹介や相談は二百五十五件。救急搬送も増え、七十九件あった。

 由佳さんの出産を手掛けた徳大病院の前田和寿医師(46)は「続けられるのは、やりがいがあるから。本当にその一言に尽きる」と語る。

 一方で、新人医師の産婦人科離れは進んでいる。二〇〇四年から新人医師に各診療科での研修が義務付けられたことが一因となっている。それまでは大学の医局に入った後、徐々にやりがいを見いだしていたが、過酷な勤務に二カ月間の研修で見切りを付けるようになっているという。徳大病院は産婦人科の周産期専門医と、小児科の新生児専門医による「新生児科」の導入を目指しているものの、具体的な開設時期などのめどは立っていない。

 ワースト5位に

 医師の増員が見込めない中、NICUを含む周産期医療の充実をいかに図るか。センター長の苛原(いらはら)稔教授(54)は「医師を自治体病院に派遣するより、大学病院に集約化することを優先すべきだ」と強調。へき地からの救急搬送は、ドクターヘリの活用などでカバーするしかないと考えている。

 厚生労働省のまとめによると、〇七年に県内で死亡した生後四週間未満の新生児は十一人。人口千人当たり一・八人で全国ワースト五位と、〇六年より悪化した。少子高齢化が加速する中、新しい命とどう向き合うのか。現場の労働条件の改善を含めた新生児・周産期医療体制の充実が喫緊の課題となっている。(医療問題取材班)
【写真説明】保育器で人工呼吸器に頼る赤ちゃん=徳島大学病院

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