インターネット新聞のJanJan ネットニュースJanJan 総選挙はザ・選挙 政治資金データベース 最新映画情報の映画の森 今週の本棚(書評) TVJAN インターネット新聞JANJANの動画・音声配信 イベント情報ならイベントステーション 商品回収など、不祥事データベース 投稿写真サイト JANフォト インターネット新聞JanJanのブログ 日本から発信する中国語市民ニュース
ザ・選挙 すべて見せます総選挙 ザ・選挙 特集総裁選

トップ > 暮らし > 相変わらず「基準の5倍報道」でよいのか、事故米転売
暮らし

相変わらず「基準の5倍報道」でよいのか、事故米転売

伊吹春夫2008/09/17
残留農薬報道に関して、いつも疑問に思うことがあります。それは、またしてもマスコミの「基準の5倍」というヒステリックな報道です。太田農水大臣が「健康問題には発展しない」という主旨の発言をして、物議をかもしていますが、この大臣見解に賛成です。
日本 食 NA_テーマ2

またもや「基準の5倍報道」にひとこと

 今回の事故米横流し事件は、ウルグワイラウンドでの「ミニマム・アクセス米」が根幹で、縦割り行政の欠陥を露呈した事件。と多くの記者が書きました。筆者も同様の思いです。

 我が国では輸入米が買手の目途もなく120万t以上保管されています。「13℃、湿度70〜75%で衛生的に保管」されていても、カビはどこからでも侵入し、条件を選択して自分の領分を作り「はびこり」ます。

 1.『カビの生えた米を輸入しなければいいのに。』……(*1)
 2.『農薬に汚染された米は返品すればいいのに。』

 この二つは素朴な疑問です。この内、農薬汚染はかなり複雑な問題です。

 残留農薬報道に関して、いつも疑問に思うことがあります。それは、またしてもマスコミの「基準の5倍」というヒステリックな報道です。太田農水大臣が「健康問題には発展しない」という主旨の発言をして、物議をかもしていますが、伊吹はこの大臣見解に賛成です。(言葉遣いは別とします)

 今回の農薬汚染は主として我が国の法制度上の問題から発生しています。ことメタミドフォスに限定すれば、平成18年5月までは、お米にはその基準がありませんでした。国内では稲作でこの種の農薬が使われることはなかったからです。

 しかし、農薬のポジティブリスト制度の発足にともない「その他の農薬」の扱いとなりました。必然的に暫定基準が0.01ppmと定められた為、過去に輸入した「ミニマムアクセス米」から0.05ppm検出されたら、マスメディアが一斉に基準の5倍という報道をしました。

 (9月15日のNHKニュース9でも、青山アナウンサーが『もち米に基準の6倍の……』と報道しています)

 大手の企業は、潔癖症の国民感情に迎合する形で、「焼酎」から「おかき」にいたるまで数十億円の食品を回収する騒ぎとなりました。なぜなら食品の安全性よりも、そうしなければ企業として存続できない雰囲気をマスメディアが作り出しているからです。戦前なら「非国民」。最近では「鯖からジクロルボス」と同じ構造です。

 (拙稿参照:えっ サバから14倍のジクロルボス!? 残留農薬報道は冷静に

 財団法人 日本食品化学研究振興財団の農薬基準値のメタミドホスのページを見てください。

 さーっと水洗いして、生で食べる「キャベツ」や「レタス」でも基準値は1.0ppmです。つまりお米の100倍までは許されています。TV報道流に書けば、このサラダに使ったレタスは「今回の汚染米の20倍の農薬が含まれていても安全です」ということになります。(そんなこと言いませんよねえ)

 御存知のように、農薬は2006年5月以前は使ってよろしいという許可基準でしたから、許可基準に書かれていなければ検査の対象にもならず基準がなかったのです。つまり、平成18年5月29日以前に輸入した米には検査の項目に入っていなかったのではないかと想像しています。(検査項目は公表されていない)ポジティブリスト制度の発足に際し、基準のはっきりしないものは暫定的に0.01ppmとしたのであって、決して安全基準ではないのです。マスメディアでは、使用基準と安全基準がゴッチャになっていて、さも「猛毒入りのお米」の様なニュアンスの報道が目にあまります。

 かように残留農薬基準といっても「安全基準とはかけ離れた」ところで「暫定的に記述されている」ものも多いと御理解いただきたいのです。05年度までに輸入されたものについては、国内で「あとから出来た基準を適用して」輸出国へ「返品」という訳にはまいりません。それこそ、国際問題ですから……。

 といっても誤解なきよう……筆者は汚染米が市中に食用として流出したことを良しとする意図はありませんし、それどころか『断じて許されることではない』と明言しておきます。

 ・耐震偽装の姉歯事件に匹敵する企業倫理と顧客無視
 ・利益が最優先の「何でもあり」は許せません

◇ ◇ ◇

(*1):カビ毒につては諸説があり、それぞれの専門家の見解に譲ります。アフラトキシンB1については、食品から検出されてはならないとされています。
 参照:
 ・農水省のリスク管理のページ
 ・アフラトキシンPDF

行政の対応 9月15日現在

 内閣府食品安全委員会厚生労働省でも、大臣・医薬商品局とも音沙汰なしです。

 理由は農薬に関しては「健康問題」になる事は限りなく少ないからです。輸入米への異物混入は、ほぼ毎月発生しその都度公表されています。「記者発表」ではないので我が国の記者クラブ諸君は無視していたのでしょう。次回報告します。
◇ ◇ ◇
関連記事
えっ サバから14倍のジクロルボス!? 残留農薬報道は冷静に
民主党農林水産部門会議:三笠フーズによる事故米横流し事件
農林水産省は「事故米あること自体が問題」となぜ認識できない
事故米不正転売事件の本質は輸入義務米にあり

青森・リンゴ果汁産地偽装:相次ぐ食品偽装、防ぐのは消費者
「国際ポテト年」の今年、大地のリンゴ―ジャガイモの効用を見直そう
食卓から見えなくなってしまった“農”
フードマイレージ買物ゲームで生活を見直す

宮崎農畜産業「もう限界」JAが異例の全面意見広告
食の世界地図 〜ギョーザ中毒事件から考えたいこと〜
「白い恋人」と「鰻と梅干」で食の安全、賞味期限を考えた
残留農薬と食の安全:中国産キクラゲ

特集 コメはいま ライスショック

【穂の国発 農産物はいま】
・(23)稔りの秋
・(22)豪雨後の水田と稲作
・(21)稲刈あとの集中豪雨
・(20)穂の国の稲刈
・(19)カメムシ防除の季節
・(18)稲穂が揃いました
・(17)特別栽培農産物はいずこへ
・(16)減農薬栽培と表示できないミニトマト
・(15)水耕栽培のミニトマト
・(14) 菜の花まつり考 その3
・(13)田植風景
・(12)代掻きまでの風景
・(11)菜の花畑でキャベツ刈り?
・(10)菜の花まつり考 その2 菜の花プロジェクトは竜宮城物語
・(9)麦の価格

・(8)牛肉 消費低迷

(7)フラワー(菊)戦争
(6)「籾蒔き始る」
(5)コメ 春耕の季節
(4)Mさんのトマト
(3)キャベツ農家の昨今
(2)ブロッコリーの向こう側に見えるもの
(1)菜の花まつり考

ご意見板

この記事についてのご意見をお送りください。
(書込みには会員IDとパスワードが必要です。)

メッセージはありません

おすすめコンテンツ

ページトップへ戻る
ネットニュース JanJan

JanJanとはQ&A報奨制度スタッフ募集個人情報保護方針編集局へのメッセージ会社概要

JanJanに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。全ての内容は著作権法並びに国際条約により保護されています。
Copyright © 2002-2008 JAN JAN. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.