地域ごとの保険料率設定で医療費抑制?
日本病院事務研究会(会長=合羽井昭雄・永寿総合病院理事)はこのほど、定例の勉強会を開き、東京保険医協会の栗林令子事務局次長が、社会保険庁の解体を受けた10月からの業務移管に伴う制度上の変更点などを解説。現在の政府管掌健康保険が、都道府県ごとに保険料率を設定する形になる点について、医療費の高い地域での抑制につながりかねないとの懸念を示した。
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社保庁が解体されるのに伴い、政管健保は10月以降、非公務員型公法人として設立される「全国健康保険協会」に運営業務が移管され、名称も「全国健康保険協会管掌健康保険」(協会けんぽ)に変わる。全国一律に設定されてきた保険料率も、医療費適正化の目標などを踏まえて都道府県ごとに設定する形になる。来年度の保険料率は、全国平均で8.2−8.5%になるとみられている。
厚労省が2003年度の実績に基づき試算した結果によると、医療費が全国で最も低い長野県の7.6%に対し、最高の北海道では8.7%になるとされている。栗林氏は、「介護保険と同じように、医療費が高くなってしまう地域では、協会けんぽの保険料が高くなる。医療費の抑制を図ろうとしているのが見え見えだ」と述べた。
同時に、厚生労働省が9月に告示した医療費適正化計画について、「計画を守れない都道府県では診療報酬の値引きを検討しなさいとも取れるくだりがある」と述べ、医療機関への締め付けがさまざまな形で強まるとの懸念を示した。
一方、協会けんぽへの移行に伴う保険証の更新については、「回収されているはずの保険証を提示したり、新しい保険証を持って来なかったりする患者が出てくる」との見通しを示し、制度変更の概要を院内に張り出すなど、早めに患者に周知するよう呼び掛けた。東京社会保険事務局に問い合わせたところ、更新手続きが来年4月以降にずれ込む可能性もあり、その場合、来年4月以降は旧保険証の番号で保険請求すれば対応するとの返答があったことも明らかにした。
このほか、医療機関への指導・監査や保険医療機関の指定、施設基準の届け出受理などの業務が、全国8か所の地方厚生局(四国は支局)や39か所の都府県事務所などに移管される点について、「これまでと大きくは変わらないのではないか」との見方を示した。
更新:2008/09/17 19:46 キャリアブレイン
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