岐阜市の分譲住宅地「コモンヒルズ北山」の開発を巡る虚偽登記事件で、公電磁的記録不正作出などの容疑で名古屋地検特捜部に逮捕された岐阜地方法務局の元総括表示登記専門官、辻耕一容疑者(59)が「申請前に上司や同僚と協議したが、登記への反対意見は出なかった」と関係者に話していたことが16日、分かった。協議には登記部門のトップの当時の首席登記官も出席していたといい、トップを含む登記部門ぐるみで不正登記を黙認した可能性が出てきた。
当時の首席登記官は毎日新聞の取材に「記憶にない」と話している。
関係者によると、辻容疑者は04年2月下旬、同法務局登記官だった勝田功(59)、木岡好己(55)の両容疑者=同容疑で逮捕=と上司の首席登記官、ナンバー2の統括登記官、部下の登記官の計6人で、不動産開発業「グリーン産業」社長、中村満容疑者(58)=電磁的公正証書原本不実記録などの容疑で逮捕=が申請予定だった登記の受理について協議した。
申請は、03年7月の登記で約14倍に広げた無担保地をさらに100倍以上拡大する内容で、出席者は「内容がおかしい」との認識で一致した。だが、最終的には登記を認める方針になったという。
辻容疑者は関係者に「以前に中村容疑者の登記を却下した際、不服申し立てで苦労した話を聞かされ、却下すれば面倒になると思った。他にも不自然な登記を受理しており、今さら断れなかった」と説明しているという。【秋山信一、桜井平】
毎日新聞 2008年9月17日 2時30分