岐阜市の分譲住宅地「コモンヒルズ北山」の開発を巡る虚偽登記事件で、電磁的公正証書原本不実記録容疑などで逮捕された「グリーン産業」社長、中村満容疑者(58)が、逮捕容疑と同様の手口で開発予定地内の別の土地でも面積を最大で約2000倍に拡大する不自然な登記を繰り返していたことが分かった。いずれも公電磁的記録不正作出・同供用容疑で逮捕された岐阜地方法務局の元登記官2人が申請を審査・受理しており、名古屋地検特捜部は登記が認められた経緯を調べている模様だ。
特捜部の調べや登記簿によると、中村容疑者は03年6月、グリーン産業の関連会社が開発予定地に所有する無担保地の面積を33平方メートルから3万5940平方メートルに変更する地積更正登記をした。さらに9月には6万2220平方メートルに拡大した。
周辺の土地の担保権を持っていた整理回収機構が不自然さに気付き、12月に岐阜地裁が土地の売買などを禁じる仮処分をした。これを受け、中村容疑者は04年3月、再度地積更正して16平方メートルに縮小、同じ日に隣接する別の無担保地を562平方メートルから5万9253平方メートルに拡大した。さらに別の無担保地でも03年5月、2106平方メートルから6528平方メートルに拡大し、この土地の一部を住宅地として分譲していた。
一連の登記は、中村容疑者が開発予定地内の無担保地を実際より広く見せかけ、売却益を得る目的で申請したとみられる。審査はいずれも当時岐阜地方法務局の登記官だった勝田功(59)と木岡好己(55)の両容疑者が担当した。【秋山信一】
毎日新聞 2008年9月13日 2時30分(最終更新 9月13日 2時30分)