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京都メディフェス 京都が進める「道の進化論」

清水きこ2008/09/17
「道」を対象に京都の町づくりを目指すNPO法人の戦略を聞きました。公共交通優先対策によってCO2や交通事故が減り、道は着々と人々の元に戻りはじめています。そういえば、昔は道で四季を感じ、風を感じていたのです。
京都 催し NA

京都メディフェス 京都が進める「道の進化論」 | 14日(PM1:00〜遊プロジェクト京都・まちづくり研究会 道はメディアだ!ー道の進化論ー)の会場は3階にある教室でした。壁や電灯のデザインがモダンです。
14日(PM1:00〜遊プロジェクト京都・まちづくり研究会 道はメディアだ!ー道の進化論ー)の会場は3階にある教室でした。壁や電灯のデザインがモダンです。
 全国にはいろいろなまちづくりが見られますが、その対象を「道」としたNPO法人プロジェクト京都・まちづくり研究会の事例は大変興味深いものでした。現代社会が抱えるさまざまな問題を「道」の創り上げる空間で解決していこうというものです。そのためには、道を人のために開放し、「公共空間」をつくらなければならないと同研究会はいいます。

 進化した道はコミニュケーションが生まれ、情報の行き交いとともに大きな発信源になります。つまり、ヒトやモノ、コトを結ぶ道こそが媒体(=メディア)であるという提言です。

 話題を呼んでいるGoogleのストリートビューも「道の進化」のひとつ。同志社大学理工学部講師の上野康治さんは、「データーの上につくりあげられている街だが、空間処理をすればビジネスにもつながる」と話し、今や「データーはマスコミの位置づけになっている」とも指摘します。現代の「道」の可能性は無限のようです。

京都メディフェス 京都が進める「道の進化論」 | <center>最初は10人もいない教室でしたが最後は後ろのほうまでギッシリ入っていました。</center>
最初は10人もいない教室でしたが最後は後ろのほうまでギッシリ入っていました。
 さて、NPO法人遊プロジェクト京都は活動をして1年が経ちます。代表の「まち創生研究所」の酒井弘さんが取り組みを発表するとともに国外の事例も紹介。「歩くまち・京都の戦略」を聞きました。
 
 そもそも京都を問わず、日本の道は車に独占されているのが現状です。街の空間を分断するかのように車が走り、人の声も届かない。酒井さんは「車は自宅の延長になっている」といいます。

 確かに、窓ごしに外を見る、否「のぞく」といった方がいいかも知れません。現実はそうで、本来の街を感じるには至りません。車社会は空気さえ、さえぎっています。歩いてこそ、街であり観光ですが、日本の道路事情がそうはさせてくれません。「自ら車を降りる、降りたくなる」工夫が各地に求められるようです。

 もっとも例外もあり、京都や金沢、鎌倉がそう。どの都市もまちづくり機能が成功しているようです。

 さて、同研究所が目指す「公共空間」ですが、まず試みたのが脱クルマ社会。すなわち、公共交通優先対策からでした。「歩くまち・京都」総合戦略策定審議会の強力な推進で前に進みました。

京都メディフェス 京都が進める「道の進化論」 | 同じ階の中央奥にあった別分科会の会場。
何の木材を使っているのか、あまりにも重厚でなの、つい撮ってしまいました。
同じ階の中央奥にあった別分科会の会場。 何の木材を使っているのか、あまりにも重厚でなの、つい撮ってしまいました。
 例えば、‘かわらまち・よるバス‘にみられる公共交通の利便性向上や自転車交通政策。また、複数企業によるバスの共同運行、マスメディアを利用した賢いクルマ生活の広域的展開などです。どれも利用者の視点にたった優しいモノ、コトで、これらの活動は具体的な数字をはじきだしました。CO2削減や健康増進、交通事故軽減などです。道は着々と人々の元に戻りはじめています。

 国外の事例はドイツが紹介されました。日本のお手本となる国です。場所は人口20万人くらいの駅中心部ですが日本とは対照的で、道は人々のものに見えました。車は見当たらず走っているのは路面電車だけ。その音もとても静かだといいます。

 全体の景観が人と調和しており、情緒さえ感じられます。交差点を通る子供連れや犬の散歩をしている人々からは安心感のようなものさえ漂い、まさに、道でありながらも「公共」が実現。つい、腰を下ろしたくなる光景です。

 安心はコミニュケーションを生み出し、色々な情報を結びつけます。車を否定するわけではありませんが、酒井さんはその「仕分けが必要」といいます。どうやら、ドイツはそのテクニックが上手いようです。

 後半は参加者とともに自由論議の場となりました。概ね、車社会の問題や景観を取り戻す方法などが多かったようです。最後に、将来教育者になるという青年が印象的な発言をしました。

 「……それまで道は、ただの通り道だったがオーストラリアに行ったとき、道の真ん中にベンチがあった。そこに座り、結局3時間滞在していた。将来、子供たちとも、そんな空間を共有したい」。

 そういえば、昔は道が遊び場でもありました。道に寝そべり、絵を描いていたらよく怒られました。近くでは、近所のオバサンたちがしゃべり、郵便配達のお兄さんが自転車で通り過ぎる。犬も猫もウロウロ。道を横切るアリの行列もみてました。豆腐屋さんのオジサンと話したり、周囲に聞こえるのは人の声と自転車のベルの音くらい。たまに、車が入ってくるとビックリするという田舎の日常でした。四季を感じながら、風を感じながらの365日。今思えば、幸せな時間でした。

 この分科会はそんな昔を思いおこすと同時に、今を生きる私達の現代版「道あそび」を探っているようにも感じました。 会場は木屋町という昔からの繁華街にありました。街中とあって蒸し暑く、汗もタラタラ。しかし、窓際にいたせいか涼しい風がときおり肌をくすぐります。

 風は遠くの東山からなのか、近くの鴨川からなのか・・・。繁華街といえども、その昔は涼しい風が通りぬけたのかもしれません。未来の道には、「自然の通り道」もはずせません。道であそび、道でくつろぐ。確かに、道は昔から何かをつなぐ媒体(=メディア)だったのかもしれません。

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