 |
園内の桜を撮影する高畑さん |
|
|
うねった山道を抜け進入路にたどり着くと、車窓からの眺めは一変した。色づいた桜が途切れることなく続き、その並木越しの遠望にはコンビナートや水島灘が広がる。
「わあ、山が桜色だ」。園内を下った池付近から桜を見上げた女の子が、歓声を上げた。ソメイヨシノ、八重桜、ヒガンザクラが一面に広がる丘陵地は、春になると淡いピンクで覆われ、まさに「桜の山」。随所で花見客が散策を楽しんだり、弁当を囲む市内有数の名所だ。
源平藤戸の合戦(一一八四年)のころ、瀬戸内海に浮かぶ島だった種松山(二五八メートル)。その中腹に位置する西園地は、花木園や遊具、庭園などを持つ一二・五ヘクタールの総合公園として一九九〇年に整備された。
桜は公称千二百本。「それでも倉敷で一番の本数だけど、地元住民が植樹した分を合わせると、三千本近いんじゃないかな」。西園地管理組合の岡部豊太組合長(80)は誇らしげに話す。
幼少時から写真が好きで、後楽園など県内の名所の風景を撮り歩いている高畑さんが種松山に魅せられたのは二年前。「インターネットで紹介されているのを見て、行ってみたら圧巻だった。いろいろな桜を見てきたけど、心底感動しましたね」
丘陵地の全景をはじめ、桜のアーチ、水島灘を見渡せる散策路、野鳥が戯れる池。起伏や借景に富んだ園内は桜の観賞ポイントが多く、見る人を飽きさせない。
高畑さんは撮影した写真を新聞やテレビに応募したり、自身のブログ(日記風サイト)に掲載している。「倉敷市民にとっては種松山は有名かもしれないが、私のような市外の人はまだあまり知られていない。写真を通して、後楽園や半田山(岡山市)にも劣らない魅力があることを伝えたい」
例年より遅めの「桜の山」は間もなくピーク。花が散り、宴が終わってもツツジや藤、バラ、アジサイの花々が出番を待つ。種松山は四季折々に表情を変えながら、憩いの場として来園者を迎え続ける。 (前川真一郎)
種松山公園西園地には、倉敷市福田町浦田、道廣美貴野さんからも推薦をいただきました。
|