医療費の伸び要因、「高度化」だけではない
日本医師会は9月17日、定例の記者会見を開き、先ごろ発表された2006年度の国民医療費について、厚生労働省が「医療の高度化を含む自然増で1.8%増」と説明したことに対し、中川俊男常任理事が独自の分析結果を示して反論した。
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厚労省はこれまで、国民医療費の伸びの要因について、▽診療報酬改定など▽人口増▽人口の高齢化▽その他―に分類し、「その他」については「医療の高度化を含む自然増」などと説明してきた。中川常任理事はこれに対し、疾病構造や受療率の変化、医療制度改革、医療の高度化などさまざまな要因が含まれているとし、医療の高度化だけを強調するのは不当だと訴えた。
国民医療費の伸びを診療種類別に見ると、薬局調剤医療費の伸びが著しく、一方で一般医療費は人口増や高齢化の影響を除くとマイナスになっている年が多い。このことから中川常任理事は「医薬分業政策により院外処方が拡大したことが主要因」と指摘した。
また、傷病別に分析した結果からは、高齢者の受療率の低下が脳血管疾患、虚血性心疾患で見られ、結果的に「人口増と高齢化によって伸びるべき医療費」を下回った。在院日数の短縮も虚血性心疾患で顕著に見られ、中川常任理事は「高齢者の一人当たり医療費が高く、長期療養を要する傷病では、医療費が抑制されている実態がうかがえる」とした。
その上で、「年齢階級別や傷病別の医療費の伸びだけでは、医療費抑制の実態までは分からない。国が、きめ細かいエビデンスを踏まえて検討し、医療費抑制政策を転換するよう求める」と訴えた。
国民医療費の伸びについての分析の詳細は、日医ホームページの記者会見資料で。
更新:2008/09/17 21:30 キャリアブレイン
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