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【コラム】崩れ去った現代自の「チャイナ・ドリーム」(下)

 後発走者である日本車の躍進は、徹底したローカリゼーション(現地化)戦略と体系的なマーケティングの「たまもの」だった。日本企業は世界的にもベストセラーを誇るカムリやアコードなどを先頭に、まずは中・大型車市場でブランド価値を高めた後、さまざまな中・小型車を発売し、シェアを拡大している。新車では、デザインと仕様を中国人消費者の好みに合わせて改良したほか、日本車特有のきめ細かなアフターサービスで、中国人消費者から人気を得ている。

 現代自が日本車の攻勢を前に指をくわえて見ているほかなかった理由は、一言で言って判断ミスと傲慢さのためだった。現代自は昨年、日本車やドイツ車が中国市場の覇権をめぐり激しい値下げ競争を繰り広げていたとき、一切動こうとはしなかった。これは、「損してまで販売したくない」という考えからだったが、価格競争力が決め手の現代自が自ら競争力低下を放置した形となった。中国向けモデルも今年4月に発売された「悦動」が唯一だ。

 また、ソナタの傲慢な販売戦略も失敗を招いた要因の一つとされている。2005年にNFソナタを「御翔(ウィシャン)」という名で発売して車名からソナタという名を省いた上、値段をドイツ車や日本車のレベルにまで引き上げたのだ。短期間に市場シェア4位にまで上り詰めた自信の表れだったが、中国人消費者はブランド認知度の低い「御翔」にドイツ車や日本車相当の金額を支払おうとはしなかった。「御翔」の今年の月平均販売台数は760台水準で、月1万台を超えているアコードやカムリとは比べ物にならない。

 中国市場での失敗の衝撃は、今後も現代自に長くのしかかるものと思われる。中国は、年間自動車販売台数900万台と、米国(1600万台)に続き世界第2位の自動車市場だ。米国に続き中国市場でも日本車に遅れを取ることになれば、現代自の高級ブランド化の夢はますます遠のいてしまうことになる。さらに、米国と違って中国では、先に進出しつつも逆転された形となったため、その衝撃は小さいわけがない。

 こうした状況に置かれているにもかかわらず、現代自労組は今年も依然としてストを続け、会社の発展を阻んでいる。敵陣を前に、会社と労組が取っ組み合いを始めてしまったようなものだ。これはまた、現代自の世界舞台での飛躍に夢を託してきた国民にも、大きなショックを与えている。

崔有植(チェ・ユシク)産業部次長待遇

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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