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おへそよりも家電が危ない この夏「誘導雷」被害相次ぐ

2008年9月16日

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 直撃ではない落雷で、屋内の電化製品が故障する被害が増えている。電線や通信線などを伝わって屋内に入る「誘導雷」が原因だが、背景には異常電圧に弱いパソコンやインターネット、半導体で制御されている精密な電化製品の家庭への普及がある。今年の雷の観測日数は都心では過去最多になりそうで、被害防止のための製品の需要が急伸中だ。

 「誘導雷」は、雷の周囲に発生した強力な電磁界の変化に影響され、電線や通信線、ケーブル、アンテナ、アースなどに異常に高い電圧・電流(雷サージ)が発生する現象。落雷の直撃を受けなくても、住宅の電化製品を壊したり誤作動させたりするという。

 NTT東日本は「今年は雷が多く、誘導雷による電化製品の被害が特に増えた」とする。財団法人電力中央研究所・電力技術研究所の新藤孝敏・上席研究員は「パソコンとインターネット利用が普及し、各戸に通信線が引かれてネットワーク化されるようになったからだ。これまでは被害を受けにくかった電話や、洗濯機、冷蔵庫などの家電に、異常電圧に弱い集積回路(IC)で制御される精密なものが増えたことも被害を受けやすくしている」と分析する。

 被害を確実に防ぐには、雷鳴を聞いたら、電化製品と外部をつなぐ電源や通信線などをすべて抜くしかない。だが外出時の対策や不便さを考えると、異常電圧・電流が電化製品に届く前に別の回線へ逃がすなどする保護装置を取り付けるのが現実的だという。

 今年、保護装置のメーカーは忙しい。音羽電機工業(兵庫県尼崎市)では、電源の分電盤に取り付ける保護装置の出荷台数が昨年の2倍、保護装置付きコンセントの出荷台数が3倍に増えた。昭電(東京都墨田区)も「一般オフィスや工場向けの保護装置の売り上げはここ数年、倍増の勢いだ。最近は監視カメラやセキュリティー設備でも対策のニーズが高まっている」と話す。

 気象庁によると、今年の東京都心の雷観測日数は7月が7日(平年値2.3日)、8月が8日(同2.5日)で過去50年間で最も多い。通年でもこれまでに21日にのぼり、同一の観測基準で過去最多だった1920年の23日に迫っている。この夏は日本を覆う太平洋高気圧の張り出しが弱かったためという。(上沢博之)

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