知られざる名古屋城の「秘密」
■名古屋市博物館で企画展「名古屋城を記録せよ!」
企画展「名古屋城を記録せよ! 名古屋城百科『金城温古録』の誕生」が瑞穂区の名古屋市博物館で開かれている。焼失前の名古屋城を唯一詳細に記録した「金城温古録」にまつわる貴重な展示。知っているようで知らない名古屋城の「秘密」を探りに、同博物館を訪れた。
「名古屋城は江戸時代初期、徳川家康が大阪方への最終防衛拠点として築いた城。いわば尾張藩のトップシークレットでした。そんな名古屋城を唯一詳細に記録した資料が『金城温古録』です」と同博物館の学芸員桐原千文さん。
金城温古録が書かれたのは激動の幕末期。各藩が有事に備えて軍備を見直す中、尾張藩も最重要防衛施設である名古屋城の資料をまとめる必要に迫られた。その大仕事を任せられたのは、図面を書く能力に長じていた尾張藩士の奥村得義(かつよし)。得義は名古屋城に関する資料や絵図をかき集め、前半部分をまとめ上げたが道半ばで死去。その後を得義の養子の定(さだめ)が補完。藩消滅後の明治30年代にようやく完成となった。
展示のメーンは初公開となる「元禄10年御城絵図」。1697年に描かれた5メートル四方の巨大な絵図で、名古屋城の全景を網羅した貴重な資料だ。金城温古録の編集に当たり、尾張藩が奥村親子に下賜したものという。「櫓(やぐら)や門の位置に加え、堀の深さや幅まで詳細に記録した絵図。まさに尾張藩の最重要機密といってもいいでしょう」と桐原さん。
ほかにも奥村親子が収集した膨大な蔵書をはじめ、尾張藩や名古屋城下にまつわる資料約450点がずらり。中には天守閣からの眺めを再現したジオラマや、名古屋城に関するクイズなどユニークな展示も。さまざまな豆知識が得られる。
展示は10月5日まで。観覧料300円。
【写真説明】初公開の元禄10年御城絵図。その大きさにビックリ!
(2008年9月16日更新)
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