2008年9月12日
画像1:曲に合わせて踊るように動き、光りながら音楽を再生するモーション機能を備えたソニーの「ローリー」
画像2:ローリーに転送した曲を自動解析し、曲にあった動きをモーションとして登録できるソフトウエア「Motion Editor」
画像3:Motion Editorで、本体が回転する回数や前後の移動距離、イルミネーション発光パターンなどを自分で作成できる。モーションの動作は、ウインドー左側で確認できる
「iPod」や「ウォークマン」といったデジタルオーディオプレーヤー(以下、デジタルオーディオ)は基本的にはヘッドホンを使い、1人で音楽を楽しむもの。今回はちょっと変わったデジタルオーディオとして、1人だけではなく皆で楽しめるソニーの「Rolly(ローリー)」(画像1)を紹介します。
ローリーは本体にステレオスピーカーと1GBのフラッシュメモリーを搭載したデジタルオーディオ。まず面白いのはデザインで、一回り大きめの卵のような外観をしています。実際に手にとってみると電源スイッチ、そしてボタンがひとつずつあるだけです。まずどうやって音楽を転送するのかちょっと悩んでしまいますが、カバーの中にパソコンと接続するためのUSB端子が隠れています。
パソコンとの連係方法はソニーのウォークマンシリーズとほとんど変わらず、USBで接続して付属ソフトの「SonicStege(ソニックステージ)CP」で音楽を転送します。ファイル形式もMP3とAAC、そしてATRAC(アトラック)に対応しています。
このローリーは停止していると、どこにスピーカーが内蔵されているのかもよくわかりませんが、机や床の上に置いた状態で、電源ボタンではない方のボタンを押してみましょう。すると「アーム」と呼ばれる左右のカバーが開くとともに、音楽の再生が始まります。なんとスピーカーはこのアームの中に隠されているのです。スピーカーは直径2センチ程度と非常に小さいのですが、床や机、そしてアームにも音が反射するためか、見た目から想像するよりもはるかに豊かな低音を響かせます。
面白いのはその操作方法。本体にひとつしかないボタンは基本的に曲の再生、停止に使います。音量調整や選曲のためのボタンは本体にはありません。ではどうするかというと、本体を時計回りに回すとボリュームが上がり、反時計回りに回すことでボリュームが下がります。本体の周りには、「ショルダー」と呼ばれるリング状の部品が付いて、これを回したり押したりして自由に操作することができます。選曲操作もこのショルダーを利用します。向こう側へ押すと次の曲へ、そして手前へ引くと前の曲へ飛びます。さらに大きく押したり引いたりすると、転送ソフト側で設定しているグループをジャンプ、つまりアルバムなどの単位でジャンプできます。曲をシャッフルして再生するモードも用意されています。曲名などを表示するディスプレーがないので曲名などを見ながら選曲することはできませんが、それでも本体そのものを動かす操作方法はかなり新鮮です。
しかしこれだけでは見た目と操作方法が面白いだけで、iPodやウォークマンに外付けスピーカーをつないで聴くのとあまり変わりませんね。ローリーが本当に面白いのはここからです。再生中にボタンを2回続けて押してみましょう、するとローリーは左右のアームをパタパタと開閉しながらグルグルと回転して音楽を再生します。さらに前後にも動き、イルミネーションの色もきらびやかに変化するのです。これは実物を見てみないとなかなかイメージしづらいかとは思いますが、なんだか小動物が音楽に合わせて踊っているかのよう。ローリーの動きやアームの開閉によって、左右から出てくる音の広がりも変わります。これはデジタルオーディオに限らず、普通のオーディオ機器では楽しめないポイントです。
ローリー最大の特徴はこの動きながら、また光りながら音楽を再生すること。この動きながら再生する機能を「モーション」と呼びますが、ローリーでは自動で動きを加えるセルフモーション機能のほかに、付属ソフトの「Motion Editor(モーション・エディター)」を使うことで、転送した曲を自動解析して曲調やテンポに合わせたモーションを加えたり、完全に自分オリジナルのモーションを作ることができます(画像2、3)。またローリーに内蔵されたブルートゥースを使ってブルートゥース搭載のパソコンやデジタルオーディオと接続すれば、外付けのスピーカーとしても使えます。もちろんブルートゥース接続時もセルフモーション機能によりローリーのダンスが楽しめます。
ただ聴くだけでなく見ても楽しめる、まったく新しいデジタルオーディオ「ローリー」。ホームパーティーの時など、普通に音楽を流すよりもさらに盛り上がることは間違いありません。ぜひとも店頭やショールームなどで、動いているローリーを見てください。
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ライター兼エディター。デジタルオーディオ機器およびDTM関連を中心に雑誌やWebサイトで試用レポートや解説記事などを執筆。「AV Watch」で藤本健の「Digital Audio Laboratory」の連載、「All About」で「DTM・デジタルレコーディング」のガイドを担当。「サウンド圧縮テクニカルガイド 」(BNN新社)、「コンプリートDTMガイド・ブック」(リットーミュージック)など著書も多数ある。