県救急医療機能評価委員会(滝野昌也委員長)は16日、7月に行った救命救急センターの現地調査結果を渡辺庸子・県衛生部長に報告した。昭和伊南総合病院(駒ケ根市)は、整形外科と産婦人科の常勤医師が不在であることや、病院全体の医師数が不足していることから、救命救急センターの機能として「不十分」と評価した。渡辺衛生部長はこれを受け、病院側と改善策を協議するとともに、上伊那地域全体の救命救急のあり方について地域と検討する必要があるとの考えを示した。
「不十分」と評価した理由について、滝野会長は「救命救急センター専従医師数が2人で、5人程度とされている整備基準に達していないこと」や、全体の医師数が2005年の37人から短期間で22人に減少し、同規模の他施設と比べ著しく少なくなっていることなどを指摘。救急患者に関する統計データの把握や分析も不十分とした。
7月の現地調査時に必要性を指摘した伊那中央病院(伊那市)の視察は、「県の要請があれば行う」と述べるにとどまった。
渡辺衛生部長は、近く病院に出向き調査結果を報告した上で、病院側と改善策を協議していくとする一方で、「センター機能維持には医師を増やす必要があるが、現実的に医師確保は困難。上伊那地域全体で救命救急のあり方を考えるべき」と述べた。
ただ、将来的な体制整備に向けた協議には地元対応が課題と指摘。「地元住民には県下初の救命救急センターとしての誇りが強く、センター指定がなくなれば救急医療が受けられなくなるとの不安も大きい。センターの取り扱いには地元の納得が必要で、時間を掛けた話し合いが必要になってくる」との認識を示した。