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2008年9月17日

 汚染米問題で、参院が閉会中審査を開くことを決めた。とどまるところを知らぬ悪徳商法に、重い腰がやっと少し上がった

問題の発端となった三笠フーズの汚染米だけでも、流通先は370社を超えた。酒や菓子、給食、外食産業と、汚染は広がる一方である。カネの欲に汚染されてしまった列島で、食の安全は脅かされ続ける

小泉元首相の演説で有名になった「米百俵」は、戦いで疲弊した越後に贈られた米の話。時の為政者は人々に分け与えて食べてしまわず、我慢させて金に換え、学校を建てて人材を育てた。明日のためにいまの痛みに耐える、という美談に、列島はいっとき聞き入った

当節の汚染米物語は、倉庫の保管料に億単位の金をかけた揚げ句、キロ10円程度で金に換えるという訳の分からぬお役所仕事で、流通検査もおざなり。これでは悪徳業者に不正を薦めるようなものである

汚染米も、業者や消費者に大変な痛みや不安を強いている。為政者は為政者で、今の始末よりも明日の国づくりを叫んで、選挙に熱を上げている。米百俵の話と格好は似る。が、およそ美談にはほど遠い。


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