来年一―二月ごろの国産ロケットによる打ち上げが待ち遠しい。香川大工学部の能見公博准教授のグループが開発を進めていた超小型人工衛星「STARS」が完成した。
衛星は、縦横約十五センチ、高さ約四十センチの小さな箱形だ。宇宙空間で二つに分離し親子衛星となる。テザーと呼ばれる特殊な糸で結ばれ、地上から親機を通じ子機を制御する実験を行う。
テザー技術は、ガス噴射などに頼らず低コストで運用できる。スペースシャトルを外から撮影し不具合を見つけたり、スペースデブリ(宇宙ごみ)回収など広い用途に応用でき、実用化が待たれている。
三年前、学生の提案で衛星開発が始まった。宇宙の低温下での電池の電力低下、真空での潤滑油蒸発など、トラブルを学生で解決してきた。西日本の大学で人工衛星を作ったのは初めてだ。
地場産業の活性化も期待されている。衛星のカメラやアンテナは高松市、電子制御は高知県のメーカー、電池や電源システムは岡山市の企業が参加しており、地方のものづくり技術が詰め込まれている。
子どものころ、ロケット打ち上げのニュースを聞いては胸を躍らせた。今や地方の大学が人工衛星を作って飛ばす時代となった。反響はどうなのか。宇宙開発の夢を通し科学好きの青少年が増えてほしい。