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敬老の日 老後の安心を揺るがすな

 きょうは「敬老の日」である。各地でお年寄りの長寿を祝う敬老会などの行事が行われる。地域で盛り上げ、楽しい催しにしてもらいたい。

 食事の質の向上や医療技術の発達などで、日本の高齢者の数はどんどん増えてきた。総務省がまとめた十五日時点の推計人口調査によると、六十五歳以上の高齢者人口は二千八百十九万人で、前年より七十六万人増加し過去最高を更新した。

 総人口に占める割合(高齢化率)は22・1%となり、前年より0・6ポイント上昇した。百歳以上の高齢者は、今月末時点で過去最多の三万六千二百七十六人になる見込みだ。

 寿命が延び、長生きする人が多くなる社会は喜ばしい。その中で一段と問われるのは、超高齢社会における生活の質だろう。医療、年金などの分野で「老後の安心」が何より重要だが、最近は政治や行政がそれを揺るがす由々しい事態が相次いでいる。

混乱続く後期医療

 問題の最たるものは、今年四月に始まった後期高齢者医療制度だろう。七十五歳以上の人を切り離した医療制度をつくり、負担と給付の関係を明確にしようとした。合わせて無駄な医療や投薬を抑制する狙いもあった。

 しかし、制度開始と同時に混乱を極めた。保険料負担について、厚生労働省は基本的に増えないとしていたが、家族構成などによって負担増になる人がいることが分かった。年金からの保険料天引きや、終末期の医療をどうするか選択する新たな制度などにも批判の声が上がった。

 政府は問題が指摘される度に、減免措置や凍結などさまざまな対応策を講じてきた。一時しのぎで失敗を取り繕うやり方を「弥縫(びほう)策」というが、まさにこの言葉がぴったりの対応としか思えない。

 そもそもなぜ七十五歳という年齢で区切るのか理解に苦しむ。例えば終末期の医療選択制度は、年齢にかかわらず大切な考え方だが、七十五歳以上だけを対象にするから反感を買うのは当然である。

 約二年も準備期間があったのに、混乱を招いたのは明らかに政府の責任だ。白紙に戻し、少子高齢社会の中で持続可能な医療制度の在り方を議論し直すべきではないか。

年金も不安だらけ

 早期の衆院解散・総選挙含みで現在行われている自民党総裁選を見ながら、どうしても苦笑してしまうことがある。あのキャッチフレーズが全く聞こえないからだ。

 「百年安心年金」である。与党は二〇〇四年の制度改正でこう見えを切り、成果を繰り返しアピールしてきた。だが、社会保険庁のずさんな業務によってキャッチフレーズは吹き飛んでしまった。

 誰のものか分からない「宙に浮いた年金」や、保険料を払ったのに記録が残っていない「消えた年金」などの問題が相次いで表面化した。最近では、厚生年金の算定基礎となる標準報酬月額の改ざんも正式に明らかになった。

 問題解決の見通しは立たず、国民の怒りは収まらない。一連の問題は社保庁の組織や職員の体質に起因しているが、制度自体に不安を抱く人は多い。

 将来、少子化などが進めば、給付水準が下がる仕組みが導入されているからだ。こんな制度で百年先まで安心できる国民が何人いるだろうか。

近づく総選挙

 医療の問題と同様、老後の安心を託せる年金制度の再設計が必要だろう。さらに国民の関心が高い介護保険制度は定着した感はあるが、老いの支え手である介護職の人たちの待遇改善が急務だ。民間任せではなく、政治の力も問われよう。

 近く予想される総選挙では、景気対策が大きな争点になりそうだ。確かに重要な課題ではあるが、老後の問題は高齢者だけでなく、中年や若い世代にとっても大切なテーマである。

 基本はそれぞれの年代、個人が所得によって相応の負担をして支え合うことだ。その調整を図り、できる限り不満を小さくするのが政治の責任といえる。

 総選挙になれば、与野党ともさまざまな高齢化対策を打ち出してくるだろう。納得できる社会保障の将来像が描かれているか、人気取りの政策か。冷静に見抜く視点をもって判断したい。


(2008年9月15日掲載)
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