――『続く世界』は劇場版『天元突破グレンラガン―紅蓮篇―』の主題歌なんですよね。
【中川】 そうなんです。『天元突破グレンラガン』は大好きな作品なので、映画化が決まったって聞いたときは、「うわぁ、楽しみだ!」って、いちファンとして思ったんですよ(笑)。だから、その時点では自分が主題歌を歌うというようなことは全然考えていなかったんですけど、最終的にはテレビ版に続いて担当させていただけることになって。それは本当に嬉しかったですね。だから、テレビ版の主題歌だった「空色デイズ」以上のカッコイイ曲にして、以前より進歩した自分を出したいなって思いました。
――「空色デイズ」と同じく曲調はロックテイストですけど、歌詞は、かなり重い。悲しみや痛みを、ものすごく感じました。
【中川】 この曲は“雨”がキーワードなので、歌詞の中でもずっと雨に降られているし、もう何もかも間に合わなくてって叫んでいるような、すごくせつない内容になっているんです。だから、救われないまま終わるんですけど、タイトルが「続く世界」に決まって。その結果、悲しみがずっと続くって取ることもできるし、逆に、大切な人は決して戻ってきてはくれないけど、自分の命はその人の分まで続いていくっていう希望を感じさせる曲にもなったんじゃないかと思いますね。とてもつらいけれど、きっとそういう別れって、どんな人にもあることだと思うんですよ。考えたくはないけど、これからの自分の人生にもあるかもしれない。そう考えると、ずっと大事にしなきゃいけない曲だなって思います。
――そういう想いがあるせいか、中川さんのボーカルも、とてもエモーショナル。だから、聴いていてグッときますよね。
【中川】 悲しい歌詞なんですけど、聴いていると悲しいだけじゃなく、その先が見えてくる。そういう風になればいいなと思って歌いました。本当にハードなロックだったし、転調もあったりしたので難しかったんですけど、きっと歌ったら絶対気持ちいいなと思ったので、緊張せずにレコーディングできました。
――実際、すごくカッコイイ仕上がりになっていると思います。意表を突かれる感じですけど、こういう“中川翔子”もいいですよね。
【中川】 今回はメッセージ性の強い歌詞なので、心に響くようなサウンドにしたいと、ストリングスやピアノ、オーボエなどを駆使して、壮大なアレンジになりました。実際、歌っていても、すごく心に響くサウンドになったと思います。
――ではリスナーには、「絆」はどう心に響いてほしいですか?
【中川】 今回は、特にカップリングの「through the looking glass」が真逆なラブリーな曲なので、その対比も面白いんじゃないかと思います。私自身、真ん中がないというか、すごく極端。“気持ち悪い!”とか、“怖い!”っていうものも好きですけど、ピンクでかわいいものも好きだったりしますから(笑)。だから、そういう私っぽさも、このCDには入っている気がしますね(笑)。
――確かに2曲目は超ラブリー。それだけに、声も、すごく甘くてキュートですよね。
【中川】 自分では特に声を変えようとは思ってないんですけど、自然に曲によって声が違っちゃうんです。いつも、声が全然違っててビックリするって言われてたんですけど、アルバムを聴いて、自分でも、あ、本当だって思いました(笑)。この曲は“鏡の国のアリス”が裏のテーマなので、歌うときイメージしたのは、ピンク色の服を着たアリス。こういう曲も大好きなので、これからもロックもかわいい曲も、両方歌っていきたいと思っています。
――「through the looking glass」は『不二家LOOK ア・ラ・モード』のCMソング。中川さん自身が出演していますよね。
【中川】 不二家は小さい頃から大好きだったので、そのCMに出られるなんて、夢みたいに嬉しかったです。ただ、今回のCMは踊らなきゃいけないっていうのがあったので、それが全然覚えられなくて大変でした(笑)。親からは、CMが流れるたびに、「本当に踊り下手だよね!」って言われるので、「うるさいな、わかってるよ!」って言い返してます(笑)。
(写真:鈴木健太)
(文:高橋栄理子)