世界最大の保険会社AIGが、「逆風」に直面している。米格付け会社大手スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は16日、AIG本社に加え、日本国内で大きなシェアを占めるアリコジャパンやAIU保険、アメリカンホーム保険、AIGエジソン生命の格下げを発表した。
AIG本社を「AAマイナス」から「Aマイナス」に、子会社4社を「AAプラス」から「Aプラス」に格下げした。理由について、S&Pは「住宅ローン関連の損失が増加する懸念がある」などと説明。AIG本社が資本増強に失敗すれば、さらなる格下げの可能性もあるとしている。
米証券大手リーマン・ブラザーズの破綻(はたん)を受けて16日には、国内契約者から「契約は大丈夫か」などという電話の問い合わせが同社に殺到。同社担当者は「日本の保険事業には問題はない」などと説明に追われた。
AIGは世界130以上の国や地域で事業を展開。同社によれば、全世界の顧客は7400万件を超える。
日本国内では、テレビ宣伝で急成長したアリコジャパン、破綻した国内生保の営業を引き継いだAIGスター生命や、AIGエジソン生命などの有力生保を傘下に収める。AIU保険やアメリカンホーム保険など損保でも手広く展開している。
日本でのAIG100%出資企業の従業員数は2万6千人。AIGグループの生保全体の保有契約件数は1千万件を超えた。08年3月期の保険料収入は約2兆円となり、生保業界5位、業界全体の約7%を占めている。
さらにJTBと合弁で設立したジェイアイ傷害火災には50%を出資。老舗(しにせ)損保の富士火災には20%程度出資し、AIGの韓国事業で実績をあげた社長を送り込んだ。