恋愛相談

恋って、満たされる反面、どうしようもない切なさや悲しみを味わうものです。
ここでは恋愛のプロが、あなたの恋の悩みに対し、
「問題」を「希望」に導くヒントや、恋愛力がつくアドバイスをお伝えしています。

Vol.416

結婚は愛ですか?お金ですか?

(28歳・男性)

私は、結婚を前提(両家の親に挨拶済)にお付き合いしている女性がいます。
彼女と結婚を前提まで進めたのは、彼女の祖父が会社経営をしており、亡くなれば、財産が彼女が受け継ぐからです。
私は、今までお金に苦労してきました。
騙された事もあります。
だから人一倍、お金に執着があるのだと思います。
でも、こんな私でも忘れられない人がいます。
それは、前の彼女です。夜中、忘れられずにふっと目が覚めます。
正直、ここまで人を愛した事は、ありません。
今の彼女は、もちろん好きですが愛はありません。
結婚は、愛ですか?お金ですか?

前の彼女のことを忘れられないのに、なぜ別れたのかというのが私には疑問です。
そんなに好きなら、もう一度前の彼女とやり直せばいいのではないでしょうか。
もしや、振られたのでしょうか。
ならばあきらめるしかないでしょう。
そうでないなら、もう一度彼女と会うべきです。
そこまで好きな人がいながら、今の彼女とお金目当てで結婚しようなんて…。
お金目当てで、心もカラダも支配されようとしている今の彼女が気の毒でなりません。
また、28歳の若さでお金で苦労したとのことですが、どのていどの苦労なのでしょう。
苦労したからこそ、自分自身のチカラでお金もうけしようと 考えるのが普通なのではと私は思うのですが。そもそも財産があっても、 それを活用するには、あるていどの能力も必要です。
お金に執着していてはダメです。
お金が目的になってはお金を活かすことはできないのです。
お金を活用している人は、「 何をしたいか」がまずあって、お金は「手段」と割り切った人です。
今のままでは、いずれにしても、悔いの残る人生になってしまうでしょう。
とにかく状況が許すなら、いちばん好きな彼女ともう一度会って、 それから、考え直してはどうでしょう。
案外、前の彼女と会えば、かえって今の彼女の良さが分かるかもしれませんよ。
いずれにしても、結婚は、愛かお金かといった二者択一的なものではありません。
『源氏物語』の紫の上は、夫の光源氏が新妻を迎えた時(当時は一夫多妻)、 こんなふうに感じています。
「 わたしは、思えば、夫の情愛だけが頼りだったのだ。 今はまだ人に劣らぬ待遇を受けているけれど、しまいにはその情愛も衰えてしまうだろう」
「なんてはかないものを頼みに生きてきたんだろう」と。
また、財産目当てに結婚したら、すっからかんだったということもあります。
もしも、お金のために結婚すると、 お金に縛られた人生が待っているでしょうし、 愛のために結婚すれば、愛に縛られた人生が待っているでしょう。
愛は移ろうものだし、お金もなくなるものなのですから。

回答者プロフィール
大塚ひかり
古典エッセイスト
1961年横浜生まれ、中学生の頃から漫画を読むように古典を読み、 早稲田大学で日本史学を専攻、失恋と失業の苦悩の日々を経て、古典三昧の生活へ。著書に『源氏の男はみんなサイテー』(マガジンハウス)、『「ブス論」で読む源氏物語』(講談社+α文庫)、『太古、ブスは女神だった』(マガジンハウス)、『カラダで感じる源氏物語』(ちくま文庫)など。 最近では『いつから私は「対象外の女」』 (講談社)等、古典とは離れたものも手掛けている。

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